ぶいぶいれぽーと

VRChatとかバーチャルっぽい話を書く個人ブログです。

VRアイドルフェス「Cinderella Fes.」を見て、アイドルの素晴らしさをあらためて体感した話

6月16日と17日に、VRChatでCinderella Fes.というイベントが開催されました。VRChatで活動するアイドルが一挙に集結するフェスイベントで、幅広いメンツがこの日のために用意された専用ワールドでパフォーマンスを披露する、という内容でした。

このイベントの主催のELfαさんからお誘いいただき、事前リハーサルと本番(Day1)を拝見しました。この記事は、そんな経緯で見させてもらった「Cinderella Fes.」が、ただただ、とてもよかったという話をするだけの記事です。

そう、「ただただよかった」という話をしたいだけなんだ……むずかしい話はできない……アイドルって、そういうものでしょう……?

■目次

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現地のようす

まずはざっと、VRChat現地会場がどんな感じだったかを書いておきます。

会場に入ってすぐ、「いいぃ~~~!!!」と思わずうなってしまった垂れ幕がまずお目見え。これほんとにかわいい。立ち絵にロゴ加わるだけですごくプレミア感がある。そしてデザインの方向性の差異がVRChatらしいですよね。

会場のキャパは80人。うち30人近くは出演者・運営チームだったので、実質的には50人くらいが現地入りできたように思います。

観客側のアバター制限はなし。なので80人フル表示は極めて厳しい。適宜アバター表示人数制限をかけることで対応していました。キャパの問題と合わせて、これはVRChatイベントにつきまとい続ける問題ですね。

ちなみに、「Cinderella Fes.」では実装されたての「Group+」インスタンスが採用されました。グループ所属メンバーに加え、インスタンス内のフレンドも参加できる、事実上のFriend+な会場です。そのおかげもあってか、オープンして3分と経たずフルインスタンスになっていた印象です。

なお、公演中にワールド不具合が発生し、新しいインスタンスへ移動するという場面があったのですが、80人近くの人が「ステータスはオレンジにした状態で(≒フレンドが自由に入らないよう設定変更して)」というアナウンスをちゃんと守って瞬時に移動を終えていました。素直にすごい。観客サイドの練度もとても高いイベントでしたね。

Day1公演をふりかえる

Day1は全8組が出演。それぞれの持ち曲は2~3曲で、パフォーマンス後に司会との会話パートがはさまる、というイベント構成でした。

という味気ない解説は切り上げて、出演者の感想を話させてください……おれはいま、ただのオタクなのだから……

①天使のひまわり!

天使のひまわり!」は、「ひまみん組」というコミュニティにある部活動「アイドル部」のユニット。Day1に出演したのはわんこばれっとさんと久世ぬぬさんの2名ですが、Day2には天海朔夜さんとトウヤさんも加わった4人で出演していました。

トップバッターなので緊張してる雰囲気はありつつも、2人とも歌唱力には安定感があり、普通にレベルが高い。ソロもデュエットもしっかりこなしていてすげ~となりました。そしてかわいい。

(Day2リハーサルでの「天使のひまわり!」)

アイドルとしてのアベレージが普通に高くて、Day1トップバッターに抜擢された理由がおのずとわかるところ。ちなみにDay2のリハで4名のステージも見せてもらったのですが、こちらは歌2名・ダンス2名という構成でより魅せてくる体制になっており、さらにレベルが引き上がっているグループでした。ダンスメンバーも普通にめっちゃ動いていてビビったり。

ちなみに、「天使のひまわり!」は実際に歌って踊るメンバー以外にも、専門領域から補佐するサポーターが存在したり、そもそも所属メンバーがかなり多かったりと、かなり組織的なグループのようです。そのへんの和気あいあいとした様子はたしかに「部活動」っぽく、そうしたアイドル活動が成立するのがVRChatアイドルグループの特色なのかなと感じました。

②SugaryRabbit

SugaryRabbit」は、「こまどアバター」の愛用者によるアイドルグループ。特定のアバターの愛好家が、その魅力を発信するためになにかしらの組織活動を行うケースはVRChatでもかなりメジャーで、その中でもアイドルとして活動するケースは割合多い印象です。

出演一人目は黒胡ろこさん。ダンスがすごいアクティブで、しかも歌いながら踊れているというちゃんとアイドルできている人でした。カリンちゃんだけどかっこいい系の曲で踊るとしっかりかっこいいのは個人的に発見。意外に手足が長く見えるのが大きそうです。

二人目はペイリアンさん。Twitterでよく見かける方で、こっちもバッチリ歌って踊るアイドルでした。そして男声でこまどアバター『女の子になりたい』というクリティカルな選曲が見事にハマるかわいらしさがありました。

今回はもうひとり珀-HAKU-さんという方も出演予定でしたが、ご家庭の事情で出演できなくなる事態に。それでも2人すぎるほど十分に魅せてくれました。そして息の上がったペイリアンさんに「ペイがんばれ~!」と客席から声援が上がったのを見ていて、この距離の近さが魅力なのだなぁ……とあらためて気づくなど。

③Suc×Suquel。

Suc×Suquel。」は、ダウナーローテーションなキャラメル・ミーさんと、快活ハイテンションな緋の粉さんによる2人組グループです。

VRChatアイドルの中でも、オリジナル曲の多さ、2人で歌って踊る(同期ズレがあり得るVRChatで!)パフォーマンス、そしてほぼ週1活動もあるという活動頻度から、直近でかなり知名度が上がっています。以下のバチャマガさんの記事がめちゃわかりやすい解説なのでぜひ読んで……

vr-lifemagazine.com

パフォーマンスを拝見したのは今回が初だったのですが(リハも見逃している)、ほんとに息がぴったりの二人でした。ステージ上でも息のあった動きを見せ、MCも息のあった掛け合いでした。

ものすごいテンションの高い緋の粉さんに対して、びっくりするほどテンションの低いキャラメル・ミーさん("低く見える"のが平常なのだそう)の凸凹具合もどこか噛み合っていて、MCパートもばっちり楽しませてくれました。オリ曲のバリエーションも豊富で、これで毎週現場があるなら、ファンになる人も増えるよなぁと納得。現場が魅力的なアイドルには熱量の高いファンが多いですよね。それを地で行くコンビでした。

魔法少女シュネー

今年で4年目を迎えるVTuberでもある魔法少女シュネーさんのステージは堂に入るものでした。オリ曲も含めて歌はほんとによき……伸びやかな歌声がいいですよねぇ。加えてエフェクトアニメーションを駆使した演出もいくつかあり、「大人の魔法少女」は伊達じゃないステージになっていました。

そして今回は魔法少女らしく衣装チェンジも。いつもよりふわっとしたお衣装で歌ったのは『Snow halation』。おぉ……なんと強い選曲……! アイドルフェスにふさわしすぎる一曲に思わずうなっておりました。

そして、「Schnee(独語:雪)」という名の由来に合わせ、雪のemojiが観客から巻き上がりました。シュネーさん自身と、『Snow halation』に合わせた演出を、観客自ら作り出す。これもVRChatならではの現場の魅力です。

⑤Coconuts Miilk

Coconuts Miilk」は、ゆめ心中さんとなしろみいさんによるユニットです。ゆめ心中さんは2018年から、なしろみいさんは2019年から活動しているキャリアの長いVTuberという大きな特徴があります。

とにかくパワフルでした。1曲目はなしろみいさんのトラッカーがとにかく飛びまくるアクシデントが起きていたものの、終わったあとに「ちょっと両足潰してきますわ」とトラッカーオフにしに行ったのを皮切りに、二人とも恐ろしいほど軽妙で切れ味のあるトークを見せてくれました。一瞬漫才と見紛うほどでしたが、本番トラブルを笑いで吹き飛ばせる胆力はマジで見事です。

漫才で終わるかといえばそんなことはなく、バーチャルバンド「LAUTRIV」でボーカルも務める圧倒的声量のゆめ心中さんと、合法ロリななしろみいさんともに、ステージの上で申し分ないパフォーマンスを見せてくれました。2曲目の衣装チェンジもよき。

実力はもちろん、逆境もものともしないすさまじい胆力を前に、個人的に今回一番惹かれたグループでもあります。VRChatでも定期的にイベントを開催しているらしく、これはぜひ行かねば、という心地でいます。

⑥ELfα

今回の「Cinderella Fes」主催にして、いま伸びに伸びてるVRChatアイドルでもあるELfαさん。ヘタな言葉はいりません。圧倒的にか~わいい……!

そしてかわいいだけでなく、歌唱力も高次元なのがこの人の魅力です。「かわいい声」と「歌がうまい」が共存することって意外と多くはないのですが、ELfαさんは2つとも共存している一人です。その上動きもしっかりかわいいんだからすごい。

これまでも様々なイベントに出演し、場数を踏んできたELfαさんのステージは文句なしのひとときでした。そしてかわいいだけでなく、「VRChatのいろんなかわいいアイドルといっしょにフェスを作りたい」「かわいいが集まれば最高」と語る情熱は、目を見張るものがあります。多くのプレイヤーが、現場の熱とともに大きな舞台を作り上げる。理想的なカルチャーの成長の形と言えるでしょう。

⑦ぽめるず

VRChatでは、ポメラニアンもアイドルになる。これは間違いなく"世界初"と断言してよい、「世界初のポメラニアンアイドルグループ」。それが「ぽめるず」です。

動物番組でポメラニアンをご覧になったことは? その時のかわいさをおぼえていますか? そのかわいさにアイドルのきらめきを希釈なしで注ぎ込んだのがこのポメラニアンアイドルのステージでした。種別の違うかわいさが重なってすさまじい破壊力になってます。

さらに、3曲目ではなんと人間の姿に変身。これ女児アニメとかで見たことある! かわいいだけでなく、夢のある仕掛け方。すごすぎるとしか言いようのないステージでした。

ちなみにこの「ぽめるず」のメンバーはLilyKanonさん、桜咲さん、ろくまちさんの3名で構成されています。それぞれ普段の名義でもシンガーとして活動している人たちで、いわば変名的な活動とも言えそうです。もともと歌唱力がある人達によるポメ活……こういうこともできるのがVRの世界のふところの広さです。

⑧PRA-LiNÉ

Day1のトリを飾ったのは「PRA-LiNÉ」。夜桜りんさん、もものきももさん、なかにゃんさんによる、VRアイドルスリーピースバンドです。今回唯一のバンドという枠組みですが、全員ばっちりかわいいのでアイドル枠です。

とはいえ、そのスタイルは本格的な生演奏バンド。キュートな歌声と、ライブハウスでもかすまないバンドサウンドが混ざり合う、唯一無二な音楽が鳴り響きました。そしてどこかフォークソングっぽい穏やかな曲調が、Day1をゆるやかに締めくくりました。

MCパートもマイペースながら、ときおり聞こえてくるギターとベース、ドラムの音が心地よかったのが印象的です。あまりこういう引用はよくないと承知の上で述べると、「SB69は実在した」と言いたいほど、かわいくしっかりとしたバンドでした。どうやら次のMusicVketでも出演予定があるらしく、このバンドもぜひ他の現場が見たいと思わされています。ほんとに音楽がよいバンドでした。

⑨全員集合

そして最後は、出演者たち全員が集合したステージへ。選ばれた曲はM@STERPIECE。フィナーレにふさわしい一曲です。全員の歌声が乗る瞬間はやっぱりいいものです。どんなにわかっていても、いいものです……

終演後のようす

終演後は、出演者のみなさまが一同に集まり、来場者とコミュニケーションができる時間が設けられました。握手会的な時間に近いですが、ライブの感想を伝えたり、「お疲れ様でした」とだけ伝えたり、いっしょに写真撮ったりと、思い思いにいろいろできる時間でした。

なにかあいさつできそうな方いないかなとウロウロしてたら、目の前にポメラニアンの群れが。「かわいいねぇ~」と言っていたら、「握手できないからかわりにもふもふするね!」と近づいてきて――

えっ!? おれ天国にきちゃった!?

このときばかりはアバター越しにも気持ちの悪いオタクの笑顔が見えてしまったかもしれません。ご容赦……

めちゃめちゃ刺さった「Coconuts Miilk」にもごあいさつしに行ったら、快くチェキまでいっしょに撮らせていただきました。うれD(うれCの上位表現)……!

そんな感じで、さっきまでステージに立っていたアイドルとの距離がだいぶ近い時間となりました。現実のインディーズアイドルの現場だとめずらしくないかもですが、VTuberバーチャルアイドルだと最接近しても「画面越し」がスタンダードな印象なので、その距離感に慣れていた身には「近い…!」と思わされました。同時に、それが魅力的だなとも。

やりたいことに向かってがんばる姿

「Cinderella Fes」に触れるまで、自分はVRChatアイドル文化に正直疎く、どんな文化になっているのか、そもそもどんな人が担い手なのか、前提知識がかなり不足していました。

そんな身なのにいきなり現場を(リハ含めて)拝見したわけですが、「やりたいことに向かってがんばる」ことのまぶしさをあらためて感じました。殊にアイドルとは、日々積み重ねた努力の結果が「ステージで誰かを魅せる存在」です。それぞれのがんばってきた物語を感じる場として、気がつけばこちらが元気をもらっていました。

そして、総じてレベルが高い。これまでアイドル路線のVTuberは数多く見てきたのですが、「Cinderella Fes.」出演者の中には、そうしたVTuberの最上位レイヤーに匹敵する実力者が少なくありませんでした。かつてclocknote.さんがVR音楽勢の演奏を目の当たりにして驚愕したという話がありましたが、ほんとにVR界隈は魔境です。恐るべき才覚の持ち主がゴロゴロいる。

一方で、男性が男声のまま女性アイドルになる、なんならポメラニアンがアイドルになる、そんな自由な空気もまた素敵だなと感じました。誰もが、やってみたい"アイドル"にチャレンジしていい。ある意味では、アイドルの本質に立ち返るような、純粋な空間が広がっていたように感じます。

そんな世界が、最近ポッと生まれたのではなく、2年以上は存在し続けてる。「Cinderella Fes.」終了後に投稿されたキャラメル・ミーさんのツイートからも、たしかな「文化の積み重ね」があるのだと感じました。

あと、「Suc×Suquel。」の姿を見て「PRA-LiNÉ」が発足したというエピソードもステージ中であったのですが、誰かのステージを見た人が次のステージに立つという流れはやはり感じ入るものがあります。率直に言って、エモい。

そんな、いろんな物語が積み重なり、輝くステージが生み出されたのが、「Cinderella Fes.」というイベントだったのかなと思います。そんなまばゆい場所に、自ら飛び込んでいける、VRChatイベントの魅力をあらためて感じるひとときでした。

Day2リハの様子

Day2は外出予定があってまだアーカイブを観れていない……!のですが、ほぼ本番と同じ流れのリハを拝見しており、一部は写真を撮っていました。そちらもチラッとご紹介……

乙女雨さん。いまELfαさんに匹敵する活躍を見せ始めている一人です。ステージ上のパフォーマンス力がダントツで、こんなパワフルで楽しいステージをほぼ毎月公演しているという驚きの人です。

ShinY☆FanTasM!」。ゆめかわめすがきアイドルのちべたろーさんが発起人の5人組アイドル(リハでは1名欠席)。普段はTikTokなどのショート動画を軸に活動しているといういまどきなグループです。

myanonさん。VRChat向けアセットを作ってるクリエイターで、最近アイドル活動を始めたという方。今年に入ってから活動したとは思えんほど歌がうまいしかわいい。しかもモデリングもできる。すげえ……

ゆめかわエンジェルナース・ホノカちゃん

そして僕自身がmyanonさんの作ったアバター衣装のお世話になっていたことを後に悟る。いつか直接お伝えしたいところですね……

mokzさん。歌唱力ぶっちぎりなVSingerさんで、オリ曲多数の実力者です。基礎パフォーマンスもすごいのにお着替えギミックもパーティクルも仕込んでおり、めちゃくちゃ華やかなステージでした。ワンオフアバターもご準備中なのだとか……!

「ゅかみか」。夢川ゅかさんとはりやまみかんさんのユニットで、「天才萌え声美少女と天才神絵師美少女」という暴力的な組み合わせ。その肩書に違わずかわいさ全振りでした。

「すくまる」。歌唱担当のまるもこさんと、ピアノ担当のすくろーすさんによるユニットで、生ピアノ演奏と歌というパフォーマンスを披露しています。歌もピアノ演奏も「本職!?」とビビるレベルでうますぎる。実際まるもこさんは同人音楽とか音ゲー、すくろーすさんも同人音楽シーンで活動されている人でした。マジの実力者。

こうしてみると、出自も、パフォーマンスも異なる人たちが、「VRChatアイドル」として同じステージに立っていたのだなと思わされます。そのよりどりみどり感は、かつて初期のVTuber界隈にも見出したにぎやかさ・華やかさに通ずるものがあります。そして、見ていて元気をもらえるのもまた同じです。

主催・ディレクターコメントもいいので読んで……