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VRChatとかバーチャルっぽい話を書く個人ブログです。

VRライブで"MVの世界"へ飛び込む。「W@×おはよう真夜中 Virtual Music Show」レポ

先日、バーチャルシンガーのおはよう真夜中さんのライブ公演「W@×おはよう真夜中 Virtual Music Show」にお邪魔しました。

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「貴方の夜に寄り添う歌を歌いたい」というキャッチコピーが印象的なシンガーさんで、自分がちゃんと遭遇したのは「ALLVERSE」のリハを観覧した際だった気がします。その時に披露されていた『夜歩く』が記憶に残っていますね。いい曲です。

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この『夜歩く』のMVは、全編cluster撮影という興味深い映像です。おはよう真夜中さん自身も、clusterを中心に活動を展開している方で、今回のライブもcluster開催でした。

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clusterは直近でかなり進化して、VRChatと遜色ない演出を仕込めるようになっていることは、ぱんだ歌劇団の『アラジン』を観覧してからなんとなく察知していました。

ふだんVRChatにいる身としてはややアウェー感ありましたが、おはよう真夜中さんご本人からご招待いただいたこともあり、これもなにかの縁と思ってこっそりお邪魔した次第です。

ライブがそっくりそのままMV

さて、当日来場してみると、眼前にははおはよう真夜中さんに加えて、「立体化した歌詞」などが現れ、足元には浸水の気配が。実は今回のライブ、MVのような演出をライブ公演中にリアルタイムで仕掛けるというのが大きなコンセプトなのだそう。

ステージ上のオブジェクトだけでなく、空間全体の色調を変えたり、参加者の視界を暗転させたりと、演出の種類はかなり豊富。俗に「パーティクルライブ」とも呼ばれる様式をご存知ならば、まさにそれに近いところ。ただ自分の場合、VRChatではそれなりの数を見てきましたが、clusterで目撃したのは初でした。

また、今回のライブは新曲『Leben』のリリースに合わせての開催となったためか、選曲の一つとしてお披露目されました。どちらかと言えば重い内容の楽曲ゆえか、背後へ碑文のように歌詞が浮かぶ演出が採用。シンプルですが、それゆえの重さ、迫力がありました。

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12月1日公開のMVでも、このステージ演出の一部が垣間見えます。ちなみに"leben"はドイツ語で「生命」「人生」を意味する言葉。その名を冠する歌をつむぐのは「おはよう真夜中」という名前のアーティスト。貫かれた世界観を感じるところです。

clusterでもここまでできる。アーティストにとってもアリな場所かも

総じて、自分の中で「clusterでのアーティストライブ」のイメージが大きく更新された、よいライブでした。

歌唱楽曲は全5曲。VRライブとしてはそこそこのボリュームです。そのいずれにも、MV的な空間演出が仕掛けられていました。これをオリジナル楽曲を持つバーチャルアーティストが、個人レベルの活動としてやっているのが、なかなかにすごい。

演出のうち、視界の暗転や、「目を閉じる」ような視界エフェクトは、ともすれば「視界ハック」と呼ばれて鬱陶しがられるリスクもあります。しかし"MVのような演出"として、リアルなアーティストパフォーマンスとセットで使えば、むしろいい具合に感じられるのだなぁという発見がありました。個人差はありそうですが、没入体験としては悪くない方向性かもしれません。

なにより、ここはcluster。スマホからも手軽にアクセスできるメタバースです。筆者は息をするようにフルトラVR環境で入場しましたが、観客の大半はデスクトップ/スマホモードだった印象です。それでも空間的な寂しさを感じなかったのは、エモートやギフト機能が充実し、なによりイベントであれば最大500人まで収容できる、clusterならではの強みです。

また、この日は『Leben』のジャケ絵がアクセサリーとして販売されていました。アイテム販売機能を使って「ちょっとしたおみやげ」が用意できるのも、clusterのいいところですよね。

以前よりmemexが実践していましたが、clusterでここまでできるのならば、収容人数や参加ハードルの低さ、おみやげやギフトの存在を加味すれば、バーチャルアーティストの活動場所としてかなり有力な場所なのでは、と感じた次第です。より華美な表現が実現でき得るVRChatとはうまい具合に棲み分けできそうです。

ちなみに本ライブ、本編をあとから「3D立体視映像」として視聴できるよう録画されているらしく、あとからでも今回の没入感マシマシなライブ体験が味わえるかもしれない……とのこと。公開がいつごろになるか不明ですが、どんな感じになるか興味深いところ。今はなきアーカイブ機能のような体験ができたらよさげですね!

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