ぶいぶいれぽーと

VRChatとかバーチャルっぽい話を書く個人ブログです。

ミライアカリの古墳を訪ねて

3月31日に活動を終了したVTuberのミライアカリさんは、最後に行った配信の中で、VRChatに現れました。

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ミライアカリといえば、2017年からVRChatでの動画収録を行い、日本国内にVRChatという存在を知らしめた第一人者。「ミライアカリがいると聞いてやってきた」というVRChatユーザーも、話を聞けば意外といます。少なくない人をVRChatへと誘った彼女が、その活動の終わりにVRChatへ訪れるという出来事は、大きなインパクトがありました。

そして、この配信の中でミライアカリさんは「VRChatにアカリの古墳作ってよ!」「できれば前方後円墳がいい!」という趣旨の発言をしました。編集が入ったアーカイブ版ではそのコメント部分がカットされているものの、生配信でそのメッセージをしかと受け取ったVRChatユーザーにより、「ミライアカリの古墳」が複数生み出されました。

筆者が確認できるかぎり、その数は5つ。この記事では、ひょんなことからVRChatに生まれた「ミライアカリの古墳」をご紹介します。

1. ミライアカリの墓(前方後円墳

確認できた範囲だとたぶん最速で建てられた古墳です。円部分にあしらわれたアカリさんの顔と、どこかグラマラスなデザインが特徴です。

側面には石室への入り口もあります。

中にはただしく和風なお墓と、VRChat降臨インスタンスのスクショと思われるものが。制作者のエージェントSATANさんは、あのインスタンスに入場できた一人。現地で彼女を見送ってきた一人だからこそ、熱量と速度をもって建てられたのかもしれません。

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2. ミライアカリの墓 MiraiAkari_Grave

とてもシンプルで、もっとも由緒正しい形式の前方後円墳。二段重ねの古墳はかなりのサイズ感で、はからずもミライアカリという存在の大きさを感じ取れます。

古墳の近くには碑文。こうした碑文があると、自然とその場に「史跡」という属性が付与されるようです。

ワールド内には巨大な動画プレイヤーもあります。近くの動画リストには、ズラッと並ぶミライアカリの動画の数々。古墳で手を合わせてから、みんなで思い出の動画を鑑賞するという体験ができる仕掛けです。

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3. MiraiAkari Memorial ミライアカリ メモリアル

前方後円墳状の、白色の記念碑のようなものが置かれたワールドです。西洋式の大きめの墓碑のようにも見えます。

台座には、アカリさんへのメッセージを込めた碑文が刻まれています。「少しの間だけ眠っています」という表現が、バーチャルだからこそ不滅である、VTuberという存在の可能性を示しているようです。

こちらでも、彼女の動画が大画面で再生されています。思い出の動画と、花、そして青い蝶を眺めながら、在りし日を振り返ることができるおだやかで美しい場所です。

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4. long-potato ville

一見すると、日本のかな~り田舎なワールド。古びた神社や田んぼ、古びたバス停がなんとも味わい深いです。

そんな村のはずれに、小さな古墳がぽつんと建てられています。

近くの木の棒には、「仮想文化遺産 ミライアカリの墓(2017~2023)安らかに眠る」の一文。なるほど、VRChat文化を花開いた存在の古墳は、たしかに「文化遺産」の称号がふさわしいかもしれません。

このワールド自体は古墳発言より以前からあるもののようで、おそらく3月31日のあとに古墳が増築されたのだと推察されます。世界を自由に創造し、管理できるVRChatだからこそ、「自分のワールドに古墳を作る」ということもできるのです。

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5. VRChatここから始めました -Kokokara JP-

このワールドは、VRChatに関する歴史を年表として記録するワールドです。黎明期である2017年ごろから、主に国内で起きた様々なできごとを多数記録しており、現在も投稿フォームからの申請があれば加筆がなされます。

その一角にある、VRChatのゆかりの品々を並べたコーナーの中に、小さな前方後円墳が置かれています。青い蝶がとまる古墳の近くには、「かつて未来に明かりを灯したもの」と添えられています。

多くのVTuberやVRChatユーザーに「最初のきっかけ」を与え、一歩を踏み出す勇気を生み出したその功績を思えば、この一文は過言ではないと言えるでしょう。バーチャルの世界を切り開いたミライアカリの即席は、このワールドの年表にも刻まれています。

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その明かりを、忘れないために

前方後円墳を建ててくれ」とだけ聞けば、ミライアカリさんのユカイさを物語る言葉だと思われるかもしれません。しかし、最終配信で飛び出したこの言葉は、「みんなが寂しくなっても集まれる場所を作ってほしい」という思いから口に出たものでした。

VTuberはバーチャルな存在であるがゆえに、活動を終了しても死ぬことはありません。その人が忘れない限り、「ミライアカリ」という存在はいつまでも存在し続けます。

しかし、活動を終えたVTuberには「その後」がありません。それゆえ、思い返さない限り「停まってしまった存在」となってしまいます。思い出の中にある停止したキャラクターは、ある意味では死者に一番近い存在とも言えます。

引退したVTuberを想い、寂寞感に襲われる人は多いものです。その寂しさをまぎらわせるために、人は不意に往年の思い出を語り出します。死者を偲び、忘れないために。そうした機会を提供する場やイベントは、現実にもたくさんあります。そして――「墓」という場は、その代表格と言えるでしょう。

ミライアカリというVTuberの歩みは、100%が喜ばしいものではなかったと思います。最終配信で彼女が口にした言葉からも、きっと歯がゆい思いの中で活動を終えたことが察せられました。しかし、そうはいっても、ミライアカリは「四天王」とすら呼ばれた、VTuber文化の最初を築き上げた、大きすぎる存在です。彼女のあとに続いたVTuberやVRChat民は、無数にいるはずです。

筆者自身も、ミライアカリをはじめとした最初のVTuberを見て、VR機器を買い、VTuberの配信を追いかけ始め、この世界の記録をしたいと志し――そして現在、VRVTuber業界を追いかける専業ライターとなりました。その出会いがきっかけで、人生が大きく、楽しい方向へと転げていった一人です。この記事で何文字もテキストを重ねたところで、感謝してもしきれないでしょう。そして、筆者以上の感謝の念を持つ人も、数えきれないほどいるはずです。

そんな、バーチャルに生きる人たちの感謝と、忘れまいとする思いから、VRChatに「ミライアカリの古墳」が5つも生まれたのではないのかな、と思う次第です。もしかするとそのうち、この古墳を囲んで、"未来を照らした明かり"について語り合う日もくるのかもしれません。バーチャルを当たり前にした存在を、いつまでも語り継ぐために。

VRChat民向けのMisskeyガイド

ここ数日でTwitterがだいぶおシャカになり、さすがに移住先を探している人も多いこのごろ、Misskeyに注目が集まっている感触です。

とはいえ、いざのぞいて見ると「サーバー……?招待制……?」みたいな宇宙猫状態になってる人も多いはず。実際、「Misskey」はテーマ別にいろんなサーバーがあるのですが、Twitterにはない概念なのでたぶん最初は困惑しそうです。

というわけで、この記事では僕の方で確認できた「Misskey」サーバーのうち、VRChatを中心としたソーシャルVRまわりに特化したサーバーをいくつかリストアップしていきます。今後増えていきそうなので、とりあえず2023年7月時点の暫定記録ということで。

そもそも:「Misskey」って何?「サーバー」って何?

「Misskey」はいわゆる「分散型SNS」と呼ばれるものです。

Twitterとは異なり、ひとつのサーバーとひとつのプラットホームが存在するのではなく、誰でも自由にサーバーを建てて、独立したプラットホームとして運営することができます。そして、個々のサーバー同士を「連合」という形でつなげ、相互に各サーバー内の投稿を閲覧し、ユーザーをフォローすることができます。

ざっくりと表現するなら、「船が行き交う無数の島国」って感じです。

そして「分散型SNS」自体はいくつか種類があります。先駆け的な存在は「マストドン (Mastodon) 」ですね。そんな中で「Misskey」にどんな特徴があるのかは……公式サイトをご確認ください。

misskey-hub.net

前置きが長くなりましたが、サーバー(「インスタンス」と呼ぶ場合も)は無数の島のひとつです。なので、テーマや空気感、使えるスタンプや登録ユーザーなどから、自分に合ったサーバーを探すところから、「Misskey」の利用は始まります。

VRChat民が多いサーバー

「じゃあVRChat民はどこに行けばいいの?」という話ですが、ありがたいことに「Misskey」にはすでにいくつかVRChatに特化したサーバーがあります。以下に並べていきましょう。

にりらみすきー部

misskey.niri.la

にりらさんという人が運営しているサーバー。パッと見わかりにくいですがVRChat民向けです。テキスト投稿する人が体感多そうです。あと、「にりらさんとVRパフォーマーやダンサーの距離が近めなので、その界隈の人が多そう」というコメントも見かけました。たしかにどこかでお名前を見かける人が多そう。

ユーザー数は一番多い印象。この記事を執筆している時点で1700人ほどが登録していて、タイムラインもにぎやかです。

→その後1800人くらいに増加している模様です。

ぶいちゃ.social

buicha.social

その名の通りVRChat民向けサーバー。筆者はここにいます。体感では画像投稿する人が多い印象。えっちなものもよく横切っているような、ないような。ユーザー層は幅広そうです。

ユーザー数はにりらみすきー部に次ぐ規模。とはいえ、この記事執筆時点では1700人ほどが登録していて、にりらみすきー部とさほど規模感は変わらなくなっているかもしれません。

→7/10に2000人に到達。VRChat系サーバーだと一番人がいる場所になりました。

Metaskey

metaskey.net

VRChat以外もOKな雰囲気のサーバー。ここにも筆者はいます。けもみみ、あと太ももという傾向情報も散見されますが、特化しすぎてる感はない印象です。

ユーザー数は300人ほど。古の言葉でいうところの「マターリ進行」なサーバーです。

ぶいちゃすきー

kawaiivrc.site

ここもVRChat中心、でもVRChat以外もOKなゆるめのサーバー。

ユーザー数は300人台。ここも「マターリ進行」なサーバーみたいです。

バーチャルケモミミ!

virtualkemomimi.net

名前の通りケモミミが好きな人が多そうです。属性的にはVRChat民が多い印象。

ユーザー数は200人台。より「マターリ進行」なサーバーかもしれません。

VRChat以外のサーバー

vcasskey.net

vcasskey.net

バーチャルキャストユーザーのサーバー。ユーザー数は50人ほど。

Neos.love

misskey.neos.love

Neos民のサーバー。ユーザー数は300人ほど。

「Misskey.io」って何?

misskey.io

最大手。おそらく「Misskey」の代表サーバーと思われるもので、VRChat民だけに伝わる表現をすると「Publicインスタンス」。

登録人数は記事執筆時点で23万人を突破していて、間違いなくたくさん人がいます。が、ジャンル特化していないためいろんな話題が流れてくる上、人数が人数なので流速がえげつないようです。というか目で追えないらしい。

そして、今回のTwitter騒動のようなときに最初に殺到するのがここなので、制御のためよく登録が招待制になっていたりします。

どのサーバーにいけばいいの?

ぶっちゃけどこでも大丈夫です。というのも、「Misskey」は以下の特徴から、どのサーバーにいようと根本的な使い勝手はさほど変わらないからです。

別のサーバーの投稿も見れる

分散型SNSなので、「あるサーバーにアカウントを作ったら、そのサーバー内のユーザーの投稿しか見れない」ということはなく、他のサーバーのユーザーの投稿も見えるし、なんならユーザーのフォローもできます。気になるユーザーを片っ端からフォローするスタイルならば、どんなサーバーでもだいたい同じです。

ただし、そのサーバーにいるユーザーの投稿だけが流れるタイムラインは、そのサーバー固有のものです。イベントやコミュニティの空気感と同様に、自分の肌に合う空気のサーバーが一番過ごしやすいと思います。サーバー内で利用できるスタンプで選ぶのもひとつの手。

かんたんにお引越しできる

おどろくべきことに、「Misskey」はアカウント情報のインポート/エクスポートができます。投稿内容はもちろん、アカウントのフォロー情報まで書き出すことができるので、別のサーバーにアカウントを新規に作った場合でも、すぐにもとのタイムラインを再構築できます(フォロワーまではエクスポートできず、相手の承認待ちになります)。

なので、ある場所にアカウントを作ったあとでも、「なんか合わないわね」と思ったらフォロー情報をエクスポートし、別のサーバーにお引越しがかんたんにできます。ちなみに、「お引越し」といっても元のサーバーのアカウントが消えるわけではないので、複数のサーバーにとりあえずアカウントを作っておく、ということもできます。

筆者はいまんとこぶいちゃ.socialがメインです

こんな感じなので、いろいろアカウントを作ってみて、気に入ったサーバーを普段使いにする、という使い方がよさげです。

ちなみに、わかる人向けの情報として、「Misskey」は「ActivityPub」を採用しているので、「マストドン (Mastodon) 」の人ともつながることができます。できる人は自分で一人だけのサーバーを建てておき、気になるユーザーやサーバーと接続しにいくという使い方をしている印象です。

おぼえておくとよいコツ

各サーバーごとにルールがあるのですが、おおむね共通して活躍しそうな「Misskey」の操作・仕様を以下にまとめときます。ご参考までに。

文字装飾

misskey-hub.net

スタンプだけでなく、「Misskey」は「MFM」というマークアップ言語を採用しているので、いろいろと文字を装飾できます。

太字にしたり、中央寄せにしたり、回転させたり、文字リンク作ったり、ぼかしたり、コードブロックつくったり、Google検索埋め込んだり……スタンプと組み合わせるといろいろできます。Twitterから引っ越したときにまずハマりやすい仕様。

ちなみに、ひとつの投稿における文字数の上限は3000文字です。

画像について

VRChatユーザーならばスクショをたくさん共有したいもの。「Misskey」で画像をアップする上で気をつけたいのが、サーバーごとのドライブ容量です。

基本的にユーザーごとにドライブが一定量割り当てられる仕組みが多く、そこまで大容量でないところが多いので、やみくもに4K画像を上げまくると容量が枯渇します。webpなどの高圧縮フォーマットに変換しておくとはかどるのでオススメです。

あと、サーバーごとに「NSFW」ルールが設けられていることがあります。このルールに従って投稿する時などに、画像に「閲覧注意」フラグを立てることができます。こうすると、画像をクリックするまで画像が隠されるようになります。ちなみに、「閲覧注意」フラグはドライブ内の画像に設定されるため、投稿時に付与し忘れても、ドライブから設定しにいけば投稿側にも反映されます。

ちなみに、画像はひとつの投稿にたくさん貼れます。Twitterになれてると「無限か!?」と思ってしまいがちですが、16枚が上限です。

別サーバーのアカウントをフォローしたい時

だいたいのサーバーで「もっと!」>「照会」で表示される検索枠に、別サーバーにいる人のアカウントIDを入力すればOKです。

ただし、サーバー名も含めたフル表記である必要があるので、事前に確認しときましょう。上記画像でいうと、@kadura_asada@buicha.socialまでがフル表記です。

サーバーのルールについて

「NSFWコンテンツの扱い」「R18のNG」などのルールは、サーバーごとによってちょっとずつ異なることが多いです。アカウント開設時には、必ずそのサーバーのルール・規約をよく読むようにしましょう!

実際使い勝手どうなの

Twitterと完全にイコールではないのは大前提として、筆者は文字数制限も、画像貼り付け枚数制限もTwitterよりはるかに上で、文字装飾やスタンプで遊びまくれるこの空気感が気に入っています。Twitterではできないウキウキな投稿もしやすいです。

「ウキウキな投稿」の例

一方、Twitterと比べれば人数は圧倒的に少なく、様々な情報や人脈が流れてくるということはありません。告知やPRの面でも、全世界に向けて発信することは難しく、僕のような情報収集を仕事とする人にはまだまだTwitterがよさそうな印象です。

が、いまや「情報インフラ」という公共空間となってしまったTwitterに、息苦しさをおぼえている人には移住先のひとつとしては十分です。与謝野晶子レターパックのような妙なミームはいまも現役ですが、サーバーによっては鳴りを潜めているところも多い印象です。

「Publicに出向くのはつかれた。気の合うFriend+くらいの場でゆるくやりたい」という人で、かつDiscordサーバーほど統制されたコミュニティは肌に合わない人にとっては、「Misskey」は「趣味の合う人が多いインターネット」としてゆるく避難できる場所になっていると思います。

Twitterがいつまでこのありさまなのかはわからないものの、まぁなんか破壊的な変更がきそうな予感もあるので、とりあえずアカウントだけ作っちゃうのはアリかな、という印象です。

僕とリアアリスの歩み

そろそろ語らねばなるまい……

僕とリアアリスのこれまでを……

承前:リアアリスって何?

mk22.booth.pm

  • VRChat向けアバターのひとつ。制作者は有坂みとさん。
  • 2020年に発売されて3年目を迎える長寿アバター。やや古株寄り。
  • 金髪ロングにでっかいうさみみリボンと、名前の通り「アリス」っぽい外観。そして小柄。
  • 発売から3年経つが熱狂的な愛好家が多い。
  • リアアリス怪文書部」なる独特すぎるファン活動がある。

そんな感じのアバターに手を出して半年ほどになります。結論から言えば、これまで触れてきたアバターの中でもトップクラスに触り続けています。

その遍歴をですね、書こうと思うわけです。

止めないでください。必要なことなのだから……

0. リアアリス怪文書美術館

リアアリス怪文書美術館というワールドがVRChatにあります。どういうこと? まぁ落ち着いて。順番に話しましょう。そこは「リアアリス怪文書」が展示されている美術館です。

こんな感じの、写真と文章を組み合わせてリアアリスへの愛を発信する、素敵な表現と思いが集まる場所です。展示数は普通に20~30点を超えていたような印象です。美術館としてのつくりもむちゃくちゃしっかりしてるので、普通にオススメのワールドです。

オープン当初、並々ならぬなにかを感じて僕も訪れました。あふれる愛を前に「すごい……!」と驚きました。素朴に感動していましたね。そして、順路の最後にリアアリスのサンプルペデスタルが置いてあったので、試してみたんですよ。

「"これ"か」と。びっくりするほど、このアバターのなにが魅力が、つま先からじっくりと伝わったことをおぼえています。アバターとは自分の身体。やはり一度身にまとってみないと、アバターの魅力は理解しきれないのだなと、このときに知った次第です。

1. ベース改変

というわけで美術館帰りにリアアリスを購入し、その後アップロードしました。自分のパーソナル要素である「水色の髪」「金色の瞳」「サングラス」だけは取り込んだシンプルな改変です。

まぁかわいい。そして手癖を盛り込むとどんなアバターでも"自分"として認識できる。ちなみに初めて持ち出したのはモスバーガーの取材案件の場でした。月面だったし、うさぎでいくしかないだろうと……

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2. お嬢様学校

平服(アバター:メリノ)

とはいえ、リアアリスの基礎イメージは「ちっちゃくてかわいい」であり、あまり当時の自分にマッチしていたかというとそうでもない。「うさんくせえメリノ」があまりに普段着として定着していたので、「着るとしてもよそ行きかな」と考えてしまい、なかなか改変に手を出せませんでした

しかし、ある日ふと気づいたんです。「じゃあいっそよそ行きのコスプレ感覚で改変すりゃいいじゃん」と。平服があるなら晴れ着もあっていい。逆転の発想です。

この天啓が降りてきたとほぼ同時に、ひとつのイメージも飛来しました――そう、「お嬢様学校の生徒」です。

――完璧でした。散らばった千年パズルが組み上がり、ファラオの記憶が蘇るような、そんなぴったり具合。

誰もが願ったことがあると思います。「お嬢様学校に通いたい」と。そんな願望がピタリと叶いました。

そして、自分の中で「組み上げていきたいリアアリス像」が生み出された起点でもありました。以後、僕のリアアリス改変はこの構成を軸にして展開していきます。

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3. スク水

お嬢様学校に入学したのだから、スク水も着なければウソになりますよね。

2022年12月31日午前2時、フレンド撮影

いちおう「2. お嬢様学校」にRadialIneventoryで組み込み、着替えられるようにしたのですが、VCC以前に組み込んだものなので要メンテです。

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4. チャイナ

やっぱチャイナって着たいじゃないですか(自己紹介)。カリンちゃんでも着ていたかぷちやチャイナ服を着せました。まぁ~~~「中華街のお嬢様」になりますよね。求めていたヴィジョンがそこにあります。

とはいえベースは「チャイナメイド」なので、いつでもチャイナメイドになれるように仕込んであります。これも古いRadialIneventory製なので、いずれメンテしないと……とは思ってます。

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5. 妖精騎士

一通りの初動を終えて、次はどうしようかと思ってた矢先、「ヴァルキリープリンセス」というすばらしいお衣装が眼前に現れました。即断即決。妖精騎士となって救国の旅を始めました。

ファンタジーな改変はそれ自体がフォトジェニックなもの。ちょうどこの時は武器アセットも数多く見つけてしまい、可能な限り装備させています。武器を持てばブンドドがしたい。フレームアームズ・ガールやアサルトリリィを触ってきた身にとって、これはもう避けられない習性です。

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6. 脳筋騎士

「ヴァルキリープリンセス」を使ってもう一つ、「脳筋騎士」というやつも作りたかったので改変しました。巨大斧と巨大ハンマーの二刀流。無論それぞれ片手で振るいます。いいよね……こういうの……

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(イメージの源流)

■お借りしたもの

7. 日本刀セーラー

ある日、日本刀を抜刀したくなったんですよ。現実では厳しいけど、VRChatならいつでもOK。こういう自由さがVRChatのよさです。

というわけで「持ちてェ~!」と思った刀と、「かわいい~!」と思ったセーラー服をシンプルに組み合わせました。抜刀バトルギミックのテストも兼ねたやつだったのですが、なんでしょうね、セーラーと日本刀の相性の良さをなんか感じた次第です。ちなみにこの姿が初めてリアアリスの社交場に行ったすがただったりします。

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8. 華ロリ(武装

華ロリ、あるとうれしいですよね。僕もたまたま一着見つけて、うれしさのあまり買ってしまったんです。そして着てみたらなおうれしい。ただしPBすごい多いので人前で着るのはちょっと勇気がいる。

そしてなぜか途中で「単騎で無数の兵力を瞬殺する財閥の改造人間系令嬢」という意味不明なビジョンまで降りてきてしまったため、そのようにしました。いやこういうの好きなんです。みなさんはどうですか?

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9. メイド服

2023年時点の「メイド服」はポップカルチャーの文脈に位置し得るものだと思います。なのでこのときのメイド服はポップなカラーに仕上げました。黄色とピンクの組み合わせはキュート。

そして、ちびっ子にこんなパステルカラーのメイド服を着せたら、ランドセルを背負わせなきゃウソになりますよね。当然そのようにしました。結果、ゼロ年代ラノベの表紙じゃん」と指摘されるルックスになりました。

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10. クリスマス

「フレンドがクリスマス改変をこしらえていた」――それだけで、クリスマス改変を準備するには十分な理由になります。見かけて2日後には用意したクリスマス仕様リアアリスです。

ただ、シンプルにクリスマス仕様にするのもなんか物足りなかったので、たまたま同じ時期に発売されていた火炎放射器も仕込みました。冬ですからね。あたたかいことに越したことはない。

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11. テーマパーク向きのおしゃれ(?)

2023年1月。きたる「SANRIO Virtual Festival 2023」に向かうにあたり、「ピューロランドにふさわしいガール」にならねばという使命感が湧きました。なので、そのようにしました。

今回は小物も色々とりそろえるというテーマがありました。この時点ではかばんやチョーカー、ネイル程度ですが、その有無だけでもなかなかに印象が変わることを実感しました。細部にこそ神は宿る。指先までこだわってこそアバターの存在強度が引き上がる。

ちなみにこの量産コーデがはたしてテーマパークに赴く女子の装いかどうかは不透明です。が、このすがたで行くのが一番かわいいと思ったので、ぽこピーランドへ行くときにも流用しました。自分がいいと思えばそれでいいのです。

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12. にゃんにゃんアイドル

ある日、アイドルにね、なりたかったんです。これはもう普遍的な欲求なので、みなさんもご理解いただけると思います。なにせかわいいんですよこの服……ちべたろーちゃんが着てるやつなんですけど、かわいいんですよ……

自分、『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』出演いけます。まかせてください。

ちなみに真面目な話も添えると、この時期から「非対応衣装を着せる」というチャレンジに手を染めました。ただしUnity上での強引な合わせですが。

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13. クラブに行けそうな服

「SANRIO Virtual Festival 2023」の「B5 ALT3」に「11. テーマパーク向きのおしゃれ(?)」で赴いたのですが、量産コーデのちびっ子がALT3にいるのがなかなかミスマッチだったので、クラブにいてもそんな問題なさそうなお衣装がほしくなりました。ここから髪型もたまに変えるようになります。

フード付きのオーバーパーカーに、キャップ、スニーカー。でも内側にはガーリーなシャツ。ストリートにも立てそうだけど、かわいさは忘れずに。そんな感じのわがままコーデです。

そしてこの時期、おしゃれアイテムとしての「おしゃぶり」が流行し出したので、せっかくなので装着しました。かわいらしさもありつつ、顔面がキュッとまとまるアクセサリーですね。

ちなみに、多人数イベントへ行くことを想定しているので、パフォーマンスランクはMediumまで詰めています。この改変以降、できる限りメッシュ統合などはするようになりました。これもおしゃれのひとつと心得て。

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14. 白スク

白スク水を着たい。ごく自然な欲求かと思います。せっかくなので大きめなパーカーも用意して、体が冷えないようにしています。ちなみに写真では見えないのですが、白ニーハイもはいてます。これもごく自然な組み合わせかと思います。

ちなみに写真は日産の取材案件現場です。サスティナブルな暮らしにフィーチャーしたゲームワールドの取材ですよ。

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15. アルテミスセーラー

この時期から「あらかわいい~~~!!!」と反射的に買った衣装をそのまま着せるタイプの改変が増えます。まずは圧倒的人気衣装のアルテミスセーラー。ほんとかわいいですよねこれ。説明不要の格がある。

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16. 黒ドレス

まぁお嬢様なので(?)、フォーマルなドレスとかあるとよさそうだなと思ったんですよね。黒一色の瀟洒なミニドレスです。もうちょい細かいところをデコってあげると、おめかし感が出そうだなと写真を整理していて感じたり。

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17. ぱじゃま

ぴえん

やみかわっぽいパジャマ。きゃわ……普通にセーラーなデザインもかわいく、組み合わせ次第では部屋着じゃないお洋服になりそうなふいんき

リアアリスははだしもかわいいですね。ちなみにVritualLens2も組み込みながら無理やりPoorぐらいにまとめた記憶があります。

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18. チャイナ服(オリジナル寄り)

ふと、リアアリス最大の特徴であるうさみみリボンが恋しくなりました。それと同時に、「平服寄りのリアアリス」もそろそろ用意したいと思い、リボン付きのデフォルト髪型にチャイナを着せました。だいぶ己としてしっくりくる。

いつものリアアリスとツーショ(レイヤー分けモードで撮ったやつを合成しただけ)。いつものリアアリスがアイドルなら、こちらは担当Pっぽい雰囲気でたたずんでいます。実際、担当アイドルみたいな感じなんですよね。

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19. ととちゃん服

もう反射的に買ってしまうわけですよこういうお洋服。そういうのが似合う髪型でもありますからね。

これもお洋服だけ着せてるパターンなのですが、おでかけ用のポーチとか提げてあげるとよさそうだなと思ったり。おめかけ用のおめかし。ネイルも入れたげたいですねぇ。

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20. うさぎなメイド服

うさぎ要素がほしいと思って選んだ一着。ここまでくると甘ロリのカテゴリに入りそうなデザインではあります。

ゆめかわ~な色合い。ちょっとファンシーすぎるので着ていく先があまりないのが悩み。個人的にはメイド服はハレの服の最たるものだと認識しているからかも。

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21. PUELLA

大人気衣装なEXTENTIONのPUELLA。ほかアバターに着せて撮影まで回したものの、リアアリスには非対応です。でもどうしても着たい。ならば、無理に合わせるほかあるまい……

というわけでMeshDeleterも使って強引に着ました。まぁ~いまのところ文句なし。やっぱかわいい。とはいえ、できればもうちょいスマートに着せてあげたいところです。

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22. 夢展望

ある日、「VRoidの衣装って実は着れるんスよ」という話を耳にしました。そしてちょうど、「夢展望」という実在ブランドがVRoid向けスキンを用意してるという、興味深いトピックを知りました。じゃあやってみようじゃないのさ。リアアリスとは度胸でもあるのだから。

衣装合わせはやや大変。「VRoid Studio」側の素体調整がいちばん手間な印象です。とはいえ、一回設定できればパラメーターは使い回せるような感触もあり、なにより選べるお洋服の幅が広がるのでマスターしたいなぁと思った次第です。

まぁ横着してUnityで強引に調整したんですけどね。ちなみにMeshDeleterの消込指定を見誤って、胸元がややスケルトンになってます。そのうち直したい……

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23. "浅田カズラ"

20以上のリアアリス改変に取り組み、だいぶリアアリスが体になじんできたある日、「そろそろ"普段の浅田カズラ"にリアアリスを寄せられないか?」という思いが芽生えました。一度やってみようじゃないか。というわけで"平服"に寄せたリアアリスの再構築に挑戦してみました。

その結果がこれ。思ってた以上に"浅田カズラ"のパブリックイメージが生み出せてしまいました。やっぱ髪型とグラサンが主要素なんすね

想像以上に目的を達成できたと同時に、この方面の、すなわち"かわいさ"からだいぶ外れたリアアリス像を生み出せたという手応えもありました。「これは果たしてリアアリスなのか?」と問われるとなんとも言えないところですが、こういうリアアリスもある、というモデルケースの提示になれたら……いいな……

このすがた、自分でもだいぶおさまりがよかったので、最近プライベートではもっぱらこのすがたでいます(取材案件とかだとメリノになります)。ランクもMediumまで詰めてあるので、どんな場所でも行きやすいという副次的効果もあります。

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24. ゆめかわジャージ風

傑作・アルテミスセーラーを作ったショップさんの新作。エミッションも効いたポップなジャージっぽいお衣装です。これはフレンドの人に販売前のテスト版を見せてもらったことで「ほしい~!」となって買ったやつです。なにより数少ないリアアリス対応に感謝の念を捧げたく……

色の組み合わせも自由にできるのもいい感じ。自分はなんだかんだゆめかわカラーが好きなので、今回もそのようにしています。

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25. はるいろ制服

「IRODORI Clothing」のお衣装。こういうキラキラな制服風のお衣装はいくらあってもいいのです。カラーはピンクのやつ。ピンク色はいくらあってもいいのです。

お洋服にプラスしてエミッションがまばゆい光の天使の羽も背負ってます。こういうワンポイントもまた、いくらあってもいいのです。ちなみにこれフルセット買ったのでまだ2着着せる必要があります。あとはるちゃん(アバター)もさわらねば……

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26. アイドル

なぜか大昔に買った、かぷちやアイドル衣装があったんです。たぶんVRChatハマりたてのころに買ったけど、誰に着せるか見当がつかずに眠ってた……のだと思います。まさかうさんくせえ方向に進むとは当時考えておらず……

というわけである日、思い切って取り出して着せた次第です。

自分、『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』出演いけます。まかせてください。

■お借りしたもの

27. chloma

でかめのアウターを探していたある日、野生の蚕が語りかけました。「でっかいアウター探してるんですか。これしかないですね!」

というわけで2023年5月、chlomaデビューを果たしました。自分には遠いブランドだと思ってたので(なぜならあまりにすごすぎるので……)意外だなと思いつつ、やっぱ「店頭で見て触る」という行為が重要なんだなと思い知った日でしたね。

感触はどうかといえば、「マジの最高」に尽きます。いやほんとにかっけえっす。

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28. FluffyLily

なっふな堂さんがべらぼうにかわいいお衣装を発表していて「よい~!!!!!」と叫んでいたら、まさかのリアアリス対応が告知されていました(ここまでタイトル)。

ただただ「ありがたい」という気持ちだけが胸を満たし、五体投地の姿勢をとりました。リアアリス対応、割と貴重なのでありがたいことです……

そして、よき衣装に小細工は必要なし。袖を通しただけで「あらかわいい」の輪唱が巻き起こりました。もっとおしゃれな街のワールドとかで撮影したげたいですわね。

■お借りしたもの

29. 魔法使い

そういえば魔法使いになったこと、ないなぁ~と思い、なりました。ふわふわな真っ白ドレスと三角帽子。あえて「魔女衣装」っていうお衣装ではないものを使って、白魔女っぽいルックスを作ってます。

杖も必須なので見繕うべく探してたのですが、ギミックバリバリなすばらしいものがあったので購入させていただきました。普段はレイピアだけど杖にもなるナイスな一品。魔法エフェクトまでついているといううれしいやつです。

■お借りしたもの

30. ビキニ

2023年・夏。僕の心には「水着、ならなきゃ」という使命感が湧いていました。スク水ではなく、白砂のビーチに似合うビキニ姿に、一度はならねば――

というわけで、着ました。ビキニ。僕もリアアリスでここまでの露出は初めてです。「こんな体型だったのか」というのは純粋に発見ですね。こんな機会じゃなきゃ拝むこともない。

撮影用と割り切って、VirtualLens2とライティングギミック、さらに視線固定ギミックまで入れたフル装備にしてあります。これらをフル活用して撮影するの、めちゃたのしいです。一人撮影会。

あと、なにげに表情調整も(リアアリスに対しては)はじめて行いました。デフォでは見られないリアアリスの表情、ちょっとドキッとしましたよね。

今年の夏、いけます。まかせてください。

■お借りしたもの

結びに:リアアリスとは、"可憐"そのものだ

本記事をここまで読んでいる人間は一人もいないと思うので、以下は僕が個人的に抱く、リアアリスのイメージと魅力について記そうと思います。

リアアリスのベースには、たぶん「不思議の国のアリス」が横たわっているように思います。しかし、デフォルトのリアアリスの姿は、ふわふわでロリータな姿ではありません。パーカーにオーバーオールのスカート、黒タイツとスニーカー、左腕のスマートウォッチと、その身なりはなかなかにアーバンでモダンです。目の形状もデフォルトではなかなかにシャープだったりします。

しかし、金髪のロングヘアとうさみみリボンに宿る「少女(アリス)性」は、そんな姿でも一ミリも減じていません。むしろ、洗練された都会感があるからこそ、無邪気な少女の可憐さがより一層際立っているように感じるんですよね。

浅田のリアアリス怪文書:最初の一作

僕がはじめてリアアリスになってみた時、抱いた第一印象は「かわいさが露骨すぎない」だったと記憶しています。あかるさますぎず、しかし隠すことはない。「凛とした可憐さ」をたしかに感じました。だからこそ、僕の最初の怪文書には、「可憐」と書いて「リアアリス」というルビを振りました。

浅田のリアアリス怪文書:「いる」

同時に、その姿は意外と「そのへんにいるかもしれない」と感じました。無論、こんな可憐な少女が現実にいることはないでしょう。しかし、街のどこかにいても不思議でないないそのたたずまいが、なんだかかっこいいんですよね。その凛としたありように、自分は惹かれているのだと思います。

そんなアバターを使い続けたことで、「かわいい姿」であることに対して、僕の中にあった抵抗感はだいぶ和らぎました。「かわいい」と本気で向き合うきっかけをくれた、大きすぎる存在。それが僕にとっての「リアアリス」なのかもしれません。

2022年12月31日午前4時半ごろ

おかげさまで(?)、僕がリアアリスでいるときは自然と動きが「かわいい」寄りになるらしく、カメラを向けられればポーズをかます心構えまで芽生えました。

2022年の大晦日の早朝にそれをかましたところ、大いにウケた人たちに連れられ、急遽撮影会が開かれる珍事が起きました。12月31日の午前2時から6時くらいまで「被写体になる」という人生初体験を得た次第です。

そう考えると、まるで不思議の国のような、異次元の体験へ連れて行ってくれた恩人、とも言えそうです。これが後の人生にどう彩りを添えるかはわかりませんが、あることに越したこともないでしょう。まだしばらくは、リアアリスとあてのない旅を続けていきたいところですね。

最後に

mk22.booth.pm

リアアリス、すばらしいアバターです。あなたもリアアリスになってみませんか?

 

VRアイドルフェス「Cinderella Fes.」を見て、アイドルの素晴らしさをあらためて体感した話

6月16日と17日に、VRChatでCinderella Fes.というイベントが開催されました。VRChatで活動するアイドルが一挙に集結するフェスイベントで、幅広いメンツがこの日のために用意された専用ワールドでパフォーマンスを披露する、という内容でした。

このイベントの主催のELfαさんからお誘いいただき、事前リハーサルと本番(Day1)を拝見しました。この記事は、そんな経緯で見させてもらった「Cinderella Fes.」が、ただただ、とてもよかったという話をするだけの記事です。

そう、「ただただよかった」という話をしたいだけなんだ……むずかしい話はできない……アイドルって、そういうものでしょう……?

■目次

配信アーカイブ

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現地のようす

まずはざっと、VRChat現地会場がどんな感じだったかを書いておきます。

会場に入ってすぐ、「いいぃ~~~!!!」と思わずうなってしまった垂れ幕がまずお目見え。これほんとにかわいい。立ち絵にロゴ加わるだけですごくプレミア感がある。そしてデザインの方向性の差異がVRChatらしいですよね。

会場のキャパは80人。うち30人近くは出演者・運営チームだったので、実質的には50人くらいが現地入りできたように思います。

観客側のアバター制限はなし。なので80人フル表示は極めて厳しい。適宜アバター表示人数制限をかけることで対応していました。キャパの問題と合わせて、これはVRChatイベントにつきまとい続ける問題ですね。

ちなみに、「Cinderella Fes.」では実装されたての「Group+」インスタンスが採用されました。グループ所属メンバーに加え、インスタンス内のフレンドも参加できる、事実上のFriend+な会場です。そのおかげもあってか、オープンして3分と経たずフルインスタンスになっていた印象です。

なお、公演中にワールド不具合が発生し、新しいインスタンスへ移動するという場面があったのですが、80人近くの人が「ステータスはオレンジにした状態で(≒フレンドが自由に入らないよう設定変更して)」というアナウンスをちゃんと守って瞬時に移動を終えていました。素直にすごい。観客サイドの練度もとても高いイベントでしたね。

Day1公演をふりかえる

Day1は全8組が出演。それぞれの持ち曲は2~3曲で、パフォーマンス後に司会との会話パートがはさまる、というイベント構成でした。

という味気ない解説は切り上げて、出演者の感想を話させてください……おれはいま、ただのオタクなのだから……

①天使のひまわり!

天使のひまわり!」は、「ひまみん組」というコミュニティにある部活動「アイドル部」のユニット。Day1に出演したのはわんこばれっとさんと久世ぬぬさんの2名ですが、Day2には天海朔夜さんとトウヤさんも加わった4人で出演していました。

トップバッターなので緊張してる雰囲気はありつつも、2人とも歌唱力には安定感があり、普通にレベルが高い。ソロもデュエットもしっかりこなしていてすげ~となりました。そしてかわいい。

(Day2リハーサルでの「天使のひまわり!」)

アイドルとしてのアベレージが普通に高くて、Day1トップバッターに抜擢された理由がおのずとわかるところ。ちなみにDay2のリハで4名のステージも見せてもらったのですが、こちらは歌2名・ダンス2名という構成でより魅せてくる体制になっており、さらにレベルが引き上がっているグループでした。ダンスメンバーも普通にめっちゃ動いていてビビったり。

ちなみに、「天使のひまわり!」は実際に歌って踊るメンバー以外にも、専門領域から補佐するサポーターが存在したり、そもそも所属メンバーがかなり多かったりと、かなり組織的なグループのようです。そのへんの和気あいあいとした様子はたしかに「部活動」っぽく、そうしたアイドル活動が成立するのがVRChatアイドルグループの特色なのかなと感じました。

②SugaryRabbit

SugaryRabbit」は、「こまどアバター」の愛用者によるアイドルグループ。特定のアバターの愛好家が、その魅力を発信するためになにかしらの組織活動を行うケースはVRChatでもかなりメジャーで、その中でもアイドルとして活動するケースは割合多い印象です。

出演一人目は黒胡ろこさん。ダンスがすごいアクティブで、しかも歌いながら踊れているというちゃんとアイドルできている人でした。カリンちゃんだけどかっこいい系の曲で踊るとしっかりかっこいいのは個人的に発見。意外に手足が長く見えるのが大きそうです。

二人目はペイリアンさん。Twitterでよく見かける方で、こっちもバッチリ歌って踊るアイドルでした。そして男声でこまどアバター『女の子になりたい』というクリティカルな選曲が見事にハマるかわいらしさがありました。

今回はもうひとり珀-HAKU-さんという方も出演予定でしたが、ご家庭の事情で出演できなくなる事態に。それでも2人すぎるほど十分に魅せてくれました。そして息の上がったペイリアンさんに「ペイがんばれ~!」と客席から声援が上がったのを見ていて、この距離の近さが魅力なのだなぁ……とあらためて気づくなど。

③Suc×Suquel。

Suc×Suquel。」は、ダウナーローテーションなキャラメル・ミーさんと、快活ハイテンションな緋の粉さんによる2人組グループです。

VRChatアイドルの中でも、オリジナル曲の多さ、2人で歌って踊る(同期ズレがあり得るVRChatで!)パフォーマンス、そしてほぼ週1活動もあるという活動頻度から、直近でかなり知名度が上がっています。以下のバチャマガさんの記事がめちゃわかりやすい解説なのでぜひ読んで……

vr-lifemagazine.com

パフォーマンスを拝見したのは今回が初だったのですが(リハも見逃している)、ほんとに息がぴったりの二人でした。ステージ上でも息のあった動きを見せ、MCも息のあった掛け合いでした。

ものすごいテンションの高い緋の粉さんに対して、びっくりするほどテンションの低いキャラメル・ミーさん("低く見える"のが平常なのだそう)の凸凹具合もどこか噛み合っていて、MCパートもばっちり楽しませてくれました。オリ曲のバリエーションも豊富で、これで毎週現場があるなら、ファンになる人も増えるよなぁと納得。現場が魅力的なアイドルには熱量の高いファンが多いですよね。それを地で行くコンビでした。

魔法少女シュネー

今年で4年目を迎えるVTuberでもある魔法少女シュネーさんのステージは堂に入るものでした。オリ曲も含めて歌はほんとによき……伸びやかな歌声がいいですよねぇ。加えてエフェクトアニメーションを駆使した演出もいくつかあり、「大人の魔法少女」は伊達じゃないステージになっていました。

そして今回は魔法少女らしく衣装チェンジも。いつもよりふわっとしたお衣装で歌ったのは『Snow halation』。おぉ……なんと強い選曲……! アイドルフェスにふさわしすぎる一曲に思わずうなっておりました。

そして、「Schnee(独語:雪)」という名の由来に合わせ、雪のemojiが観客から巻き上がりました。シュネーさん自身と、『Snow halation』に合わせた演出を、観客自ら作り出す。これもVRChatならではの現場の魅力です。

⑤Coconuts Miilk

Coconuts Miilk」は、ゆめ心中さんとなしろみいさんによるユニットです。ゆめ心中さんは2018年から、なしろみいさんは2019年から活動しているキャリアの長いVTuberという大きな特徴があります。

とにかくパワフルでした。1曲目はなしろみいさんのトラッカーがとにかく飛びまくるアクシデントが起きていたものの、終わったあとに「ちょっと両足潰してきますわ」とトラッカーオフにしに行ったのを皮切りに、二人とも恐ろしいほど軽妙で切れ味のあるトークを見せてくれました。一瞬漫才と見紛うほどでしたが、本番トラブルを笑いで吹き飛ばせる胆力はマジで見事です。

漫才で終わるかといえばそんなことはなく、バーチャルバンド「LAUTRIV」でボーカルも務める圧倒的声量のゆめ心中さんと、合法ロリななしろみいさんともに、ステージの上で申し分ないパフォーマンスを見せてくれました。2曲目の衣装チェンジもよき。

実力はもちろん、逆境もものともしないすさまじい胆力を前に、個人的に今回一番惹かれたグループでもあります。VRChatでも定期的にイベントを開催しているらしく、これはぜひ行かねば、という心地でいます。

⑥ELfα

今回の「Cinderella Fes」主催にして、いま伸びに伸びてるVRChatアイドルでもあるELfαさん。ヘタな言葉はいりません。圧倒的にか~わいい……!

そしてかわいいだけでなく、歌唱力も高次元なのがこの人の魅力です。「かわいい声」と「歌がうまい」が共存することって意外と多くはないのですが、ELfαさんは2つとも共存している一人です。その上動きもしっかりかわいいんだからすごい。

これまでも様々なイベントに出演し、場数を踏んできたELfαさんのステージは文句なしのひとときでした。そしてかわいいだけでなく、「VRChatのいろんなかわいいアイドルといっしょにフェスを作りたい」「かわいいが集まれば最高」と語る情熱は、目を見張るものがあります。多くのプレイヤーが、現場の熱とともに大きな舞台を作り上げる。理想的なカルチャーの成長の形と言えるでしょう。

⑦ぽめるず

VRChatでは、ポメラニアンもアイドルになる。これは間違いなく"世界初"と断言してよい、「世界初のポメラニアンアイドルグループ」。それが「ぽめるず」です。

動物番組でポメラニアンをご覧になったことは? その時のかわいさをおぼえていますか? そのかわいさにアイドルのきらめきを希釈なしで注ぎ込んだのがこのポメラニアンアイドルのステージでした。種別の違うかわいさが重なってすさまじい破壊力になってます。

さらに、3曲目ではなんと人間の姿に変身。これ女児アニメとかで見たことある! かわいいだけでなく、夢のある仕掛け方。すごすぎるとしか言いようのないステージでした。

ちなみにこの「ぽめるず」のメンバーはLilyKanonさん、桜咲さん、ろくまちさんの3名で構成されています。それぞれ普段の名義でもシンガーとして活動している人たちで、いわば変名的な活動とも言えそうです。もともと歌唱力がある人達によるポメ活……こういうこともできるのがVRの世界のふところの広さです。

⑧PRA-LiNÉ

Day1のトリを飾ったのは「PRA-LiNÉ」。夜桜りんさん、もものきももさん、なかにゃんさんによる、VRアイドルスリーピースバンドです。今回唯一のバンドという枠組みですが、全員ばっちりかわいいのでアイドル枠です。

とはいえ、そのスタイルは本格的な生演奏バンド。キュートな歌声と、ライブハウスでもかすまないバンドサウンドが混ざり合う、唯一無二な音楽が鳴り響きました。そしてどこかフォークソングっぽい穏やかな曲調が、Day1をゆるやかに締めくくりました。

MCパートもマイペースながら、ときおり聞こえてくるギターとベース、ドラムの音が心地よかったのが印象的です。あまりこういう引用はよくないと承知の上で述べると、「SB69は実在した」と言いたいほど、かわいくしっかりとしたバンドでした。どうやら次のMusicVketでも出演予定があるらしく、このバンドもぜひ他の現場が見たいと思わされています。ほんとに音楽がよいバンドでした。

⑨全員集合

そして最後は、出演者たち全員が集合したステージへ。選ばれた曲はM@STERPIECE。フィナーレにふさわしい一曲です。全員の歌声が乗る瞬間はやっぱりいいものです。どんなにわかっていても、いいものです……

終演後のようす

終演後は、出演者のみなさまが一同に集まり、来場者とコミュニケーションができる時間が設けられました。握手会的な時間に近いですが、ライブの感想を伝えたり、「お疲れ様でした」とだけ伝えたり、いっしょに写真撮ったりと、思い思いにいろいろできる時間でした。

なにかあいさつできそうな方いないかなとウロウロしてたら、目の前にポメラニアンの群れが。「かわいいねぇ~」と言っていたら、「握手できないからかわりにもふもふするね!」と近づいてきて――

えっ!? おれ天国にきちゃった!?

このときばかりはアバター越しにも気持ちの悪いオタクの笑顔が見えてしまったかもしれません。ご容赦……

めちゃめちゃ刺さった「Coconuts Miilk」にもごあいさつしに行ったら、快くチェキまでいっしょに撮らせていただきました。うれD(うれCの上位表現)……!

そんな感じで、さっきまでステージに立っていたアイドルとの距離がだいぶ近い時間となりました。現実のインディーズアイドルの現場だとめずらしくないかもですが、VTuberバーチャルアイドルだと最接近しても「画面越し」がスタンダードな印象なので、その距離感に慣れていた身には「近い…!」と思わされました。同時に、それが魅力的だなとも。

やりたいことに向かってがんばる姿

「Cinderella Fes」に触れるまで、自分はVRChatアイドル文化に正直疎く、どんな文化になっているのか、そもそもどんな人が担い手なのか、前提知識がかなり不足していました。

そんな身なのにいきなり現場を(リハ含めて)拝見したわけですが、「やりたいことに向かってがんばる」ことのまぶしさをあらためて感じました。殊にアイドルとは、日々積み重ねた努力の結果が「ステージで誰かを魅せる存在」です。それぞれのがんばってきた物語を感じる場として、気がつけばこちらが元気をもらっていました。

そして、総じてレベルが高い。これまでアイドル路線のVTuberは数多く見てきたのですが、「Cinderella Fes.」出演者の中には、そうしたVTuberの最上位レイヤーに匹敵する実力者が少なくありませんでした。かつてclocknote.さんがVR音楽勢の演奏を目の当たりにして驚愕したという話がありましたが、ほんとにVR界隈は魔境です。恐るべき才覚の持ち主がゴロゴロいる。

一方で、男性が男声のまま女性アイドルになる、なんならポメラニアンがアイドルになる、そんな自由な空気もまた素敵だなと感じました。誰もが、やってみたい"アイドル"にチャレンジしていい。ある意味では、アイドルの本質に立ち返るような、純粋な空間が広がっていたように感じます。

そんな世界が、最近ポッと生まれたのではなく、2年以上は存在し続けてる。「Cinderella Fes.」終了後に投稿されたキャラメル・ミーさんのツイートからも、たしかな「文化の積み重ね」があるのだと感じました。

あと、「Suc×Suquel。」の姿を見て「PRA-LiNÉ」が発足したというエピソードもステージ中であったのですが、誰かのステージを見た人が次のステージに立つという流れはやはり感じ入るものがあります。率直に言って、エモい。

そんな、いろんな物語が積み重なり、輝くステージが生み出されたのが、「Cinderella Fes.」というイベントだったのかなと思います。そんなまばゆい場所に、自ら飛び込んでいける、VRChatイベントの魅力をあらためて感じるひとときでした。

Day2リハの様子

Day2は外出予定があってまだアーカイブを観れていない……!のですが、ほぼ本番と同じ流れのリハを拝見しており、一部は写真を撮っていました。そちらもチラッとご紹介……

乙女雨さん。いまELfαさんに匹敵する活躍を見せ始めている一人です。ステージ上のパフォーマンス力がダントツで、こんなパワフルで楽しいステージをほぼ毎月公演しているという驚きの人です。

ShinY☆FanTasM!」。ゆめかわめすがきアイドルのちべたろーさんが発起人の5人組アイドル(リハでは1名欠席)。普段はTikTokなどのショート動画を軸に活動しているといういまどきなグループです。

myanonさん。VRChat向けアセットを作ってるクリエイターで、最近アイドル活動を始めたという方。今年に入ってから活動したとは思えんほど歌がうまいしかわいい。しかもモデリングもできる。すげえ……

ゆめかわエンジェルナース・ホノカちゃん

そして僕自身がmyanonさんの作ったアバター衣装のお世話になっていたことを後に悟る。いつか直接お伝えしたいところですね……

mokzさん。歌唱力ぶっちぎりなVSingerさんで、オリ曲多数の実力者です。基礎パフォーマンスもすごいのにお着替えギミックもパーティクルも仕込んでおり、めちゃくちゃ華やかなステージでした。ワンオフアバターもご準備中なのだとか……!

「ゅかみか」。夢川ゅかさんとはりやまみかんさんのユニットで、「天才萌え声美少女と天才神絵師美少女」という暴力的な組み合わせ。その肩書に違わずかわいさ全振りでした。

「すくまる」。歌唱担当のまるもこさんと、ピアノ担当のすくろーすさんによるユニットで、生ピアノ演奏と歌というパフォーマンスを披露しています。歌もピアノ演奏も「本職!?」とビビるレベルでうますぎる。実際まるもこさんは同人音楽とか音ゲー、すくろーすさんも同人音楽シーンで活動されている人でした。マジの実力者。

こうしてみると、出自も、パフォーマンスも異なる人たちが、「VRChatアイドル」として同じステージに立っていたのだなと思わされます。そのよりどりみどり感は、かつて初期のVTuber界隈にも見出したにぎやかさ・華やかさに通ずるものがあります。そして、見ていて元気をもらえるのもまた同じです。

主催・ディレクターコメントもいいので読んで……

 

ヤバすぎたB4をふりかえろう――「SANRIO Virtual Festival 2023」B4のおもいで

タイムシフト公演も終わって一週間経ち、やっとB4 CHILL PARKの感想を書き終えることに成功しました。だいぶ日が経っているのもあり、感想記事や解説記事も多く出そろっているでしょうし、自分は純粋な感想だけを置いてサンリオVfesのひとつの精算としたいと思います。

「クリエイターの天下一武道会」とも呼ばれた今回のB4 CHILL PARKとはなんだったのか?なにがすごかったのか?は以下の記事が流れを追って説明してくれているので、こちらもご参照ください。

www.moguravr.com

TORIENA

破壊が吹き荒れました。直球でバイオレンスな破壊があたり一面に散らばり、「これが初手で大丈夫か?」と高熱でうなされているようなうわ言が漏れました。最高。

破壊だけでは飽き足らず、2人3人に増え、生肉がめちゃくちゃに踊り、視界がゆめかわカラーでハックされるなど、ハチャメチャにやりたい放題が続き……最高。視覚の暴力がこれでもかと押し寄せるボスラッシュ感は、『Break Me Down』のサウンドにとてつもなくマッチしていました。ほぼ五感全てが暴力にさらされる!

からの。

この『デコイ』への入り。モノクロになった色彩がさっきと対照的すぎて、あまりに美しい。

『デコイ』では空間に歌詞が打ち出されるパーティクルライブの王道的演出が続きました。これも文字の出し方と、音とのハメ込み方がすごく心地よくて、静かだけどゴリゴリなサウンド(音楽の語彙がなさすぎる)とめちゃくちゃハマってた印象です。視覚と聴覚がシンクロするとすごく心地よいんですよね。

破壊にせよ、空間のハックにせよ、激しいけど全てにちゃんと連なったシナリオのようなものが感じられたので、びっくりしつつも唐突感が一切なかったあたり、めちゃめちゃ考えて演出が組まれているんだろうなと、振り返って思いました。破壊もまた匠の技。エンジニアとして参加したちゅーたなさんのnoteからも、丁寧な破壊のしごとが伝わってきます。

note.com

去年見せられたら間違いなく単発記事ができたであろうすさまじいものが、初手からお出しされてきた事実を前に、「今年のB4は"ヤバイ"」と覚悟せざるを得なかった次第です。

team:beyond_a_bit

「想像の先」を文字通り超えてきました。"a bit"どころじゃない。だってB4を破壊して宇宙まで飛び立ってしまったのですから。

開演前の舞台のような厳かな空気の中で、トランクが開き、光で編まれた草花があたりに咲き始め、やがてフロアそのものを粉々に砕く。花たちが音に合わせて発光し、ボルテージを着実にためていってからの、破壊。宇宙。星間飛行

イッツ・ア・スモールワールドからスペースマウンテンに変異したような衝撃が急にやってきて、初見では「オイオイオイオイオイオイ!!」と叫ぶので精一杯でしたね。衝撃に対してあまりに無力!

フロアの地形(≒コライダー)こそ維持しつつも、フロア全体を宇宙空間に"塗り替えて"しまい、そこに立ったまま広大な宇宙へと飛び立つ体験はめちゃめちゃに衝撃的でした。「どこを見たらいいかわからない」という意見もチラホラ耳にしたのですが(ごもっともでもある)、その予測不能さが「未知への旅」だなと感じさせてくれたので、自分はめ〜ちゃくちゃ好きでした。

暗転からの、幻想的な草原と「いきもの」と光が織りなす世界、からの全てのメッシュが砕けてスーツケースへと戻っていくクライマックスも、怒涛かつ鮮やかで言葉を失っていました。静寂から始まって静寂で締めくくられるのも、「旅から戻ってきた」感覚があって美しさにあふれていたなって。

「どれが一番すごかった?」と聞かれたとき、あえて1つだけ推挙しないといけないなら(そんなことはしたくないが)、たぶん「beyond_a_bit」って答えるような気がします。そのくらい、「見たことのない衝撃」であふれたパフォーマンス……というか「作品」「物語」だったように思います。しかもQuest対応しているってマジ……?

ちなみに最初の回では、なんの因果かteam:beyond_a_bit全員が集結したインスタンスで見ることができました。全員なにかしらの創造を実施しているスーパーチームです。各メンバーごとの解説記事も出てきたので、それもあわせてチェックすると理解が深まってなおよし、です。

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memex

memexのステージにハズレなし。2019年から活動を続けていて、今年で4周年を迎えるってだけでもうすごいのに、どんどん進化しているのがmemexというユニットだと思います。

今回のライブでは、まず「ユーザーの位置」によって演出が動的に変わるというギミックから叩き込まれてきました。「ターゲッティングされてる!」とキャッキャしていたのですが、毎パフォーマンスごとに無二の演出になる、というめちゃめちゃすごくておもしろいことをしているんですよね。まさに"ライブ"というべき演出。

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「Interactive Pop Song」という造語が採用された最初の楽曲『Observer Effect』はサンリオVfes後にVRChatワールドとして公開されましたが、解説動画も見てみるとなお「おもしろ~!」となるはずです。あらゆる音と演出がインタラクティブだった。

その後も、フロア全体を水に沈めたり(ちゃんと音が水中特有のこもりかたになる)、楽曲とリンクしたパーティクルが飛び回ったりと、視聴覚がリンクしたステージが連続しました。密度が濃すぎて体感時間5分あったかどうか。

なによりmemexは素のパフォーマンスから見事に仕上がっているので、まずライブパフォーマンスとして盛り上がるし、その上で技術的にも演出的にもすさまじく刺激的で楽しい、というのが強いんですよね。clusterでも定期ライブやってるし、VRChatでも路上ライブをやっている。すごすぎ。

「バーチャル空間でライブパフォーマンスを見せる」ことをめちゃくちゃ自覚的に続けてきた、土台の強さが存分に暴れたステージだったと思います。その上でVRChatで今後も追体験できるのがうれしい……!

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余談ですが、あにまーれの因幡はねるさんがゲリラ的にバーチャルピューロランドに潜入したら、行き先でmemexの路上ライブをやっていた、というミラクルが起きたのも印象的です。ぴぽさんご本人も言及していますが、めちゃくちゃエピックな出来事だなって。

約束

"かわいい"の化身でした。映像から本人からなにからなにまでかわいい。アバターがリアアリスの時点でかわいいことに疑いなどないんですが、輪をかけてかわいい動きでしたね……同じリアアリス使いとして見習いたいほどに……

それでいてパーティクルライブはここまでの面々とはまた別ベクトルで衝撃のラッシュ。体感としては「2DMVと3Dステージが瞬時に切り替わる」とでも言うべき、ちょっとなにが起きてるかわからない現象を目の当たりにして「ど~なってんの!!??」と叫んでいました。視界ハックに近い仕掛け方だった気はするのですが、これを不快にならないラインで仕込めるのはめちゃめちゃすごいことだと思いました。

デルミンちゃんもばっちりキュートに動き、最後には約束さん本人と共演するというのも「夢を叶えてる」感じがあってエモさがありましたね。ちなみDay2はこのあとにMashumairesh!!のステージがあり、連続で見るとさらに感慨深いものがありました。

パフォーマンスのすごさもそうなのですが、パフォーマンス前のアナウンスなどでVRChatのUIを見せながらていねいに説明するパートがめちゃくちゃに親切だったのも印象的です。自身制作のパーティクルライブワールドや、「約束カフェ&バー」のPVもバッチリ挟むことで、次を指し示してくれるのも親切。

このステージをきっかけに「約束カフェ&バー」に行ったり、そのためにVR機材をそろえる人も出てきそうですよね。というか僕がまず「約束カフェ&バー」に行きたくなっております。

戊屡神ゆゆ

クロミちゃん大暴れ。team:beyond_a_bitと同じく、アーティスト本人が出演しないタイプのパフォーマンスだったのですが、それゆえか「サンリオ公式コンテンツじゃん!!」と思わず叫んじゃうほどに「クロミちゃんのVRMV」としてカンペキに仕上がっていました。

一曲オンリーだったのでほんとにあっという間だったのですが、これもワールド全体をほぼ塗り替えるような(というかコライダーも一部外れてたような?)仕掛け方だったので、フロア破壊が飛び交った今回のB4では最も王道なパーティクルライブだったかもしれません。

ラストにステージごとワープしていくような、パレードのオマージュっぽい演出なんかも仕掛けられていて、短いけれど密度は濃密。いやほんとにサンリオさんはこれ公式コンテンツとして採用していいでしょってくらいの満足感がありました。これもQuest対応というのがすごすぎる……

キヌ

言葉を失いました。僕だけでなく、パフォーマンスを見ていたひと全てが、終演後になにも言葉を発せず、呆然と立ち尽くしていたように思います。

前回立っていたステージと、ちょうど相対する位置にステージを"呼び出し"、けたたましいギターとともにシャウトが炸裂する「紲」から、数多くの人間に衝撃をもたらした「バーチャルYouTuberのいのち」に、あえてつないでいく流れは「おや?」と最初は思いました。けれど、その既視感ある流れすら伏線で、「拡世」から連なる「はじまりはおわり」こそ今回のキヌさんの本丸だったと気付かされました。

前回B4で叩きつけられた「バーチャルYouTuberのいのち」は、ある意味では2022年に加速したメタバースブームの象徴的な出来事の一つだったと思います。しかし、あれから数多くの出来事を経て、メタバースはしっかりと幻滅期に突入した。"はじまりはおわった"のですよね。だからこそ、「バーチャルYouTuberのいのち」をリメイクするような流れが組まれたし、「はじまりはおわり」のポエトリーはどこか優しい声色だったのかなと。そう思わされています。

僕自身、発信という立場からメタバース業界の末端に関わっていることもあって、「世界は広がり、もうはじまりの段階は過ぎ去った」「それでも僕たちがここで生きるために前へ進もう」というメッセージを(勝手に)受け取ってしまい、ひとつ大きなものを受け取ってしまったなと感じるに至りました。無責任じゃいられない。「拡世」にひとつでも貢献しなければ。そう気持ちを新たにさせられるパフォーマンスでした。

裏を返すと、こうした文脈が突き刺さるかどうかが、今年のキヌさんのパフォーマンスのひとつのカギなのかなという印象もありました。ほかにも、よく見たらNakayoku Connectの残滓が一部見えたりと、10周しても気づかないかもしれないネタが数多く仕込まれているように思います。あと100回くらい再演してほしい。

ピーナッツくん

忘れちゃならないのがB4 Day2のトリを務めたピーナッツくん。この日のB2ではぶっちぎりでいいステージを見せてくれましたが、こっちではいつもの動画みたいなゆるい空気で、自然体な姿を見せてくれました。

あまりにゆるすぎて、誰かがトマトのemojiをぶん投げていたような気もします。でもそんなノリも許してくれるステージでした。最後には「あんま得意じゃない」フリースタイルでシメるという、「ほんとにトリか!?」と思っちゃうムーブを見せてくれたのも印象的です。

天下一武道会と化したB4にあって、唯一肩肘張らないパフォーマンスで立っていた姿は、いまやリアルとバーチャルの垣根を超えて活躍する、黎明期のVTuberならではの強さだったのかもしれません。実際、メインインスタンスは80人満員。このノリで息抜き、そして慕われるに至ったVTuberとして、なんかエモさがありましたね。

総括

このほか、多くの人が限界化するサンリオキャラクターステージもあったB4。ほんとにえげつない空間だったと思います。自分はDay1はほぼB4に張り付いていたのですが(有料チケット持っていたのに!)、それを微塵も後悔しないほどすばらしいものが連発されてきました。

天下一武道会と呼ぶしかない今回のすさまじさは、やはり前回キヌさんが見せたパフォーマンスの存在が大きいでしょう。「ここまでやっていいんだ」という認知から生まれた、「"アレ"を超える」という闘志が、クリエイターから発せられていたように自分は感じました。そんな中でもキヌさんが昨年を余裕で超えるような破壊力を見せてきたのはさすがすぎて。ほんとに世界観がドラゴンボール

この最高の空間を無料でオープンさせることを決めたサンリオさんも、もちろんすごい。あらゆる熱量が一箇所に集中した、まぎれもない「最前線」がそこにありました。

そしてこれを見た自分になにができるかというと、こうして感想を投下することはもちろん、やっぱ「なにかを創る」が一番のリスペクトになるのかな、とは思いました。今回のB4参加者からも、「あのキヌさんに触発された」という人がやはりいらっしゃるようでした。いい創造を見て、自分も創造に踏み出す――そんな営みの輪に入れたらよいなと、密かにワールド用アセットを買いながら思う次第です。

 

バーチャルピューロランドにみんなが集まった日々――「SANRIO Virtual Festival 2023」事前期間のおもいで

SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland」はめちゃくちゃ楽しくて、どこから振り返ろうか迷っているのですが、やっぱり今回最大のアップデートである事前期間から振り返ってみたいと思います。

事前期間について

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「SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland」は、1月21日~1月22日の2日間に渡り開催された音楽フェスです。会場は「VRChat」で、「ピューロランドの地下に広がる音楽空間」を舞台に、リアルアーティスト、バーチャルアーティスト、気鋭のクリエイター、アンダーグラウンドなDJフロア、バーチャルパレードなど、様々な音楽体験が展開されました。

フェスの開催期間は1月21日~1月22日でしたが、その一週間ほど前から会場がオープンされ、毎日パレードが実施されたほか、VRChatで有名なイベントとのコラボなどが行われました。

わかりやすく言えば「サンリオの作ったVR空間が一週間近く公開されて、ユーザーも巻き込んだイベントが毎日開催されていた」って感じです。今回からの施策なのですが、これがすごい画期的でよかったので、その「よかったよ!」という気持ちを伝えるのが、この記事です。

腕章

わっ!あやしそうなやつ!

実はMoguLiveがオフィシャルパートナーメディアになったことで、公式腕章というものももらっていて、ちょくちょくこれをつけて事前期間のバーチャルピューロランドをめぐっていました。

とはいえ「現地突撃取材!そのへんの人インタビュー!」みたいなのは根本的に苦手なので、ぬるっとイベントとかが行われている場に行き、キャイキャイしていただけなんすよね。つまるところ、なにもしていない。つまり以下のテキストは、ただのいち参加者の感想戦です。

Tresure Hunt

オープニングセレモニーにキティちゃん現る

1月13日(土)の開幕日には、「VRChatワールド探索部」の方で「オープニングセレモニーを見る部」が設立されたので、ぬるっと参加してきました。あれやあれやと40人くらいは参加していた気がします。とてもにぎやか。前回のフェスはだいたいぼっちだったので、なおさらにぎやかに感じました。

サンリオ・ワープ

ただはしゃいでいるだけ

パレード、ほんとにすごかったね……

「パレード」とは銘打っているものの、その本質を可能な限り言語化するならば「イマーシブ・インタラクティブ・ミュージカル」ともいうべきですかね。基底現実のパレードが提供する「世界観」の中に入っていくような感覚で、従来のエンタメから一線を画するすさまじいコンテンツでした。

そしてパレードのテーマに「音楽は音楽、全部なかよくできる」というもの。これだけ聞くと「サンリオっぽい」と思うし、人によってはナメてかかると思うんですよ。

「これ、サンリオでやっていいんだ」って

すさまじく骨太でしたね。なにせ出てくるのが「ノイズミュージックの精霊」。ゴリッゴリのノイズサウンドと、「やべえパーティクルライブ始まった?」と錯覚する演出が、このパレードをかの0b4k3さんが手掛けていたことを思い出させるわけです。

そんな精霊さんが叩きつけるノイズを、キティちゃんたちは肯定しました。「私たちが寄り添えばいいわ!」と叫び、ノイズミュージックとのセッションを始めます。シナモロール、ポムポムプリン、キキララ、クロミとともに紡がれる歌は、精霊さんの心をも開きます。

にっこり

「音楽はどんなものでも尊いものである」というメッセージ、言うだけならかんたんなんですよね。だけどもこのパレードは「世界観」そのものに連れ込んだ上で、本気のサウンドと演出とともに、それを叩きつけてきました。説得力がハンパない。

後に聞いたのですが、サンリオはそもそも社訓として「みんななかよく」を掲げているらしいのです。「なかよくしよう!」というメッセージの発信者として、これ以上の適役はいないでしょう。

最初に見終わったとき、「カンペキだわ」という言葉が口をついて出たのをおぼえてます。あまりにもサンリオらしく、しかしこれまでのサンリオを大きく越える、すさまじいコンテンツから今回のフェスは始まりました。冗談抜きで、この初日でフェスが終わったんじゃないかって思ってしまうほどに、満足感がすごかったです。

おしえて!写真の撮り方!

vr-lifemagazine.com

1月15日(日)、Mogura主催のプレミアムツアーが開催されました。このツアーに自分は急遽同伴することになり、後ろから見守りながらツアー参加者のみなさまへの案内などをしておりました。とはいえ、メインガイドのGugenka・三上昌史さんがすごく手慣れていたので、特に自分の出番はなかったです。よかった。

記念撮影:公式フォトグラファーイベント

そのツアーが終わった後、えこちんさん、rocksuchさん、柚葉さんの公式フォトグラファー3人衆による、初心者向けに写真を撮る時の話をゆるっとするイベントに顔を出してきました。

会場はほぼほぼフルインスタンス。大きな内容は3名の写真を撮るときのコツ、をざっくり話した後、ピューロビレッジを実際に撮影してみようということで、各々自由にカメラを手に取る時間となっていました。

「ここ、ハート型なんで、あざといやつ撮れそうですね」と言ってたので

自分もVRChatで「意識した撮影」をやるようになってそこそこ経つのですが、「いきなり撮るよりも、ワールド全体を観察してみるとよい」というコツは、意外と自分の中で無意識的なものだった(そして再現性がなかった)観点で、「学び~!」となってました。こういう知見はちゃんと聞くに越したことはないですね。

姉妹その1

姉妹その2

イベントのあとは、ネミアちゃんをばっちりサンリオ色に染めてきたあまねこさんといっしょに「実践」に赴いたりしていました。彼が撮影した写真の一部は公式フォトコンに応募されたはず。図らずもアバターが姉妹っぽくなり、いろいろポージングするのたのしかったですね。

ちなみに一人でも撮っていた。このために仕込んだ推しコーデリアアリスでございます。たのしい~~~~~!!!!!! かわいい~~~~~!!!!!

余談なんですが、公式フォトグラファー3人衆はこのタイプの活動をする際には3人とも薄荷ちゃんになっているとのこと。ただ、一見すると「これ薄荷ちゃん!?」となるくらいには個性出ていて、普通に気づきにくい。さすがはVRChatアバター界のイーブイ……

ASOBIENTに遊びにいく

絶賛配信中です

1月16日(月)の夜、何気なくソーシャル欄を見たら「K.ᴗ. AmbientflowさんとキヌさんがいるB4」という異様なスポットを発見し、半ば本能だけでJoin。行き先ではK.ᴗ.さんが定期配信を実施していました。

サンリオVfesは今回、事前期間の間、ガイドラインさえ守っていれば「B4フロアで自由にイベントを開いていい」という驚きの施策を実施していました。どんなイベントが開かれていたかは「#VFesFree」というハッシュタグから追えるようになっています。K.ᴗ.の配信も、この施策に合わせて実施された言わば「出張回」でした。

記念撮影:ASOBIENT

完全になにも知らずに訪れてしまったのですが、奏でられるアンビエントサウンドがとても心地よく、耳の奥からじっくりと癒やされていました。そして配信されているすぐそばでキヌさんと「VFesFree、最高じゃん……」みたいな雑談していた気がします。恐ろしいほど贅沢なことをさせていただいていた。あとよく見たらYuki Hataさんもいましたね。B4出演者が2人もいた。

www.youtube.com

そしてなんか雑談していたらK.ᴗ.に声掛けしていただき、恐れ多くも配信にお邪魔させていただきました。ヌケヌケと現れるあやしいやつ! マジでお邪魔しました!

www.gizmodo.jp

ちなみにK.ᴗ.さんがどんなことをされているかは、Gizmodeのこの記事が参考になります。

マイメロ、VRC学園、YSSライブ

1月18日(水)は公式・非公式イベントが複数開催されていました。すでにフェスは始まっていた?

あまりにも人が多くて重かった

まず最初は、その日突如告知されたクロミに関するイベント。事前に指定された会場インスタンスはきっかり80人に届いていました。えげちい!

イベントの内容は、この日誕生日を迎えるマイメロディを、クロミがドッキリでお祝いしようとする……スペシャルムービーの放送でした。キャラクターの誕生日と連動した粋なイベント。動画は比較的短めだったのであっさり終わり、しばらく「かわいかったねぇ~」などとおしゃべりしていたら……

ワァ・・・!

本物だァ・・・!

まさかのマイメロ降臨。会場は一気に阿鼻叫喚となりました。眼前でニッコリするマイメロを前に限界化する人々が続出。僕もいざ対面したとき、"オーラ"を感じたのは疑いない事実です。こうした突発キャラグリーティングが、フェス期間中はしばしば発生していたみたいです。

こっちも80人フルインスタンス。モチポリ大活躍でした。

次に、公式イベントである「私立VRC学園」の特別講義へ。学園、もっと早く知ってたらぜひ参加してみたかったイベントのひとつです。

桜羽ことねさん on Stage

この日の講師は桜羽ことねさんで、テーマは「VRChatアイドルについて」。桜羽ことねさんは実は日産のVRChat取材などでちょくちょくお会いする機会があり、イベントアテンダーとしての姿はよく知っていたのですが、おそらくメインであろうアイドルとしての姿を知らなかったんですよね。ステージに立っている姿だけで「あっ、舞台に立てる人だ」と一発で伝わりました。ほんとにオーラが出るんですよ。「舞台に立てる人」って。

VRアイドルのおしごとはなかなかに多様

そして活動内容の一例を見て、日産などでアテンダーとして活躍されている理由もわかったりしました。それもアイドル活動。しかし活動内容が多岐に渡っているのは、シングルタスクな身として見習いたいな~!って思ったり。

www.beyondmag.jp

桜羽ことねさんがなぜVRChatでアイドルを始めたのかを、物語調に語るパートもありました。より詳しいその経緯は上掲の記事でも書かれています。武者さんありがとう……!

YSS HacoLive #21

そして次は、YSSの#VFesFreeイベント。これも定期開催されているライブ配信「HacoLive」の出張版。おもしろいのは、YSSはフェス当時にもB3に出演予定なのに、#VFesFreeとして非公式ライブもやっていること。マジですごいし、このフットワークがVRChatアーティストの魅力になるなーと再実感しました。

www.youtube.com

良。

YSSの生ライブを見たのも初めてでした。YSSの楽曲には「透き通るようにきれいで、だけどもノリノリになれる」という印象があり、自分にとっていい感じのペースで揺れていることができるのはライブのようでもクラブのようだなと感じました。つまり、めちゃくちゃ心地よい。

突然始まるモッシュ

しかし中にはデスボ入りの楽曲もあり、そのときには「みんなでモッシュしてみよっか!」の一言で、観客全員によるモッシュがおっ始まりました。世界で一番楽しいシャトルランでしたね。

YSSと行くパレード①

そしてライブ後は、ライブ参加者に「いっしょにパレード観に行きませんか!」という声かけが。いいんですか!? 

YSSと行くパレード②

YSSのお二人を中心に、多くの人とまたパレードが見れました。行く人によってまた印象が異なることもおもしろかったですし、なにより「このあとB3で見るであろうアーティスト」といっしょにパレードを見る、という体験がすごく新鮮でした。こういうことがすぐにできるのもVRChatのいいとこですよね!

記念撮影:YSSライブ

裏側を聞く

「なにもんだッッ!!」存じております!

そしてフェス開催前日の1月20日(金)は、私立VRC学園特別講義のトリである、サンリオ・町田雄史さんによる「Sanrio Virtual Festival開催秘話」。まさにこのフェスを作り上げた人によるプレゼンです。

テック面のお話

やはりあの一夜は外せない

開催経緯、構想、技術的な裏側、そして熱意。語り口からも、このイベントにかける思いが伝わってきました。「熱量」を込めて、「好き」を共有できる場を作る。各所で大きな話題となったフェスがなぜできたのか、おのずと伝わる講義でした。こういうお話を聞く機会をオープンに提供するのも、めっちゃいいですよね。

記念撮影:私立VRC学園まちださん講義

講義が終わったあとも、参加者と非常に近い距離感でお話しされていたのが印象的です。あと、このあともパレードに行ってきたのですが、そこで偶然町田さんと再開。そこでもアツいお話しを聞くことができ、他の人とともについつい日付が変わるまで話し込んでしまう始末(相手は超多忙な社会人やぞ!)。非常に思い出深い「フェス前日」になりました。

「あつまるイベント」から「あつまる場」へ

フェス一週間前からワールドを開放し、著名なイベントとコラボし、一部フロアはユーザーに「使っていいよ!」とオープンにする。なかなか企業主導イベントではできることはないです。

少なくとも現実であれば、ピューロランドでラジオ体操をやったり、アーティストが路上ライブを行うことは難しいものでしょう。しかし、そういったことも割とやりやすいのが、オンラインで常にアクセスできるソーシャルVR/メリットのメリットです。これをプレスリリースに書く企業こそ多いですが、実践できている企業はとても少ない。

今回、ふらふらと事前期間を渡り歩いていて思ったのは、バーチャルピューロランドが「イベント会場」から「みんなが集まる場所」に変わったな、ということ。フェスの存在を知っている人はもちろんですが、「あっ、土日にやるんだ、おもしろそう~」と初めて気づく人も見かけたんですよね。後者を招き、認知してもらい、フェス参加(≒チケット購入)のきっかけを作りだす施策として有効そうです。

数回イベントが開かれた後、ゴーストタウンとなり、話題にも上がらなくなるメタバースはめずらしくありません。その最大の要因に「あつまる場所になっていないから」が挙げられると思います。人がいない場所に、人はやってきません。やってくるのは廃墟を愛するひとくらいでしょう。

サンリオVfesは、前回の話題性も大きかったですが、「オープンにする」「一部は自由に使ってよくする」という施策で、VRChat民に対する距離感を一気に縮めてきたように思います。なにより、イベントにために作られた素晴らしい空間を開放することで、「テーマパークでイベントを開く」という現実離れした体験を提供しました。こんなの楽しくないわけがない。こうしてどうやって遊ぼうか、みんなで盛り上がる熱気が生まれるのです。

ソーシャルVRメタバースの活用事例として、あらゆる組織が見本にするべき、と断言できる。そのくらい、今回のフェス事前期間には大きな意義がありました。ぜひ各所で後続が生まれるといいなって、写真をふりかえりながらしみじみ感じています。

おまけ:貼りたいだけの写真

VRChatトレジャーハント部

Horizon Adjust倒立講座

Horizon Adjustゼロ・グラヴィティ

サンリオの「バーチャル」の歴史はけっこう深い

いろんなすごいひとがおる神殿

B4はステージにも上がれたので、こんな写真も撮れた

 

浅田カズラって何者?どっかの手先なの?VRヘッドセットいくつ持ってるの?アバターは?あやしいやつって聞きました!

どうか、落ち着いて。ひとつずつご説明させていただきます。

何者?

近影(アバター:メリノ)
  • フリーライター・編集者(2019年から。2022年2月より専業)
  • メタカル最前線 編集部所属(2024年4月~)。
    • 同メディアの運営に関わる株式会社Vの社員ではありません!
  • XR、VTuberメタバースのことが好きで、ちょっとだけ知っています。
  • VRVTuberは2018年5月から。同年7月から2022年4月くらいまで、この2つの業界情報を集めるブログを毎日書いていました。
  • 2024年現在の趣味はVRChatとVRが8割、残りがVTuberと酒
    • むかしはアニメ実況クラスタにいたけどいまはほとんどアニメを見ていない
    • 酒はいまのところキライな酒に出会ったことがないのでなんでも飲む
    • VRについてはこれを読んでください

できること

  • 文章執筆:現在のメインはXR、VTuberメタバース
    • ニュース記事:チョットデキル 速報系も対応中
    • 取材記事:チョットデキル リアル・バーチャル両対応
    • インタビュー記事:ソコソコ リアル・バーチャル両対応
    • ハウツー・情報まとめ記事:ソコソコ
  • 文章編集
  • 広報(お手伝いレベル)
  • リサーチ
  • VRChatの案内(ほかプラットフォームも少しは)
  • XR、VTuberメタバースについて知っていることを教える

やってきたこと

ポートフォリオ

www.foriio.com

2022年全体

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連載

①Weekly Virtual News

「バーチャル」に関するトピックを一週間単位で振り返る連載です(基本毎週月曜更新)。ありがたいことに1年続いています。

realsound.jp 

②週刊 気になるVRChat

VRChatに関するトピックを一週間単位でまとめて紹介する連載です。

www.moguravr.com

主な生態

  • 正午になるかならないかギリギリのタイミングで目覚め、夜更けまで仕事をしたり、茫漠としたりしています。
  • インターネットに生息しています。ここで言う「インターネット」とは、Twitter、Discord、Slackなどを指します。
  • 夜になるとVRChatにログインします。普段はInviteOnlyインスタンスでタバコを吸ったり、念仏を唱えたりして暮らしています。
    • たまにPublicやFriend+インスタンスにやってきて、すみっこで無言のままじっとし、人間の気配を接種することで知られています。
    • 主な使用アバターはメリノ、リアアリス。いずれも水色の髪と金色の瞳のはずで、たいてい見るからに怪しい格好をしているはずです。
    • Join/Invite/Req Inviteは緑・水色であれば基本OKですが、膝に矢を受ける、ぜったいれいどの直撃、鎌倉の方角へ呪詛を唱える、などの理由で応じられないこともあります。ご了承ください。
    • 6~7割程度の確率で少~中量程度の酒が入っています。
  • お仕事などの依頼はTwitterのDM、およびメールにて受け付けています。
    • 仕事用のアドレスは kadura.asada★gmail.com です。古の魔除けとして、@マークを置換しています。
    • 私が関わっているメディアへの窓口ではありません。各メディアへのご依頼は、各メディアの窓口へ直接お問い合わせください。

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